あのお館様と仮結婚しました【鬼滅の刃】

三十五の幕 ページ39

．






………今思うけど、寝る時に、名前を呼ぶチャンスなんてあるっけ？


おやすみなさい、とか？



でも、それだったら印象に残るかもしれない


印象に残った方が、そりゃ嬉しいけど………







産「A、布団を引きずってはいけないよ」



貴「…あっ」




ずっと考えていた私は、ズルズルと、敷くはずの布団を引きずっていた


今まで気づかなかった私スゲー




貴「ごめんなさい！」




すぐに元に戻した









貴「か…お館様って、まだ仕事は残ってるんですか？」



今！さらっといけそうだったのに！






するとお館様は、いつものように、ふんわりと微笑んで




産「残ってないよ。今夜はもう寝るかい？」




と言った


あ、もうおやすみなさい、しかなくね？

寝るだけなら






．






ロウソクの火を消し、布団に入る



先にお館様が、



産「おやすみ、A」



と言ってくれた




おやすみ＋名前呼びだったので、かなりハードルが上がった！


いつものことのはずなんだけど、今日はさらに、嬉しく思えた






胸に残る、嬉しさに気をとられ、勝手に口走っていた





貴「おやすみなさい、か、輝哉さん」



と


ついに言えたのだ




でも、言えた、と分かったのは………お館様がこっちを向いて、驚いていたからだ

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