【明治東亰恋伽】本と、剣と、ハイカラと。【愛され】

浪漫.43 ページ44

あの後、すぐに布団に入ったAは中々寝付けずにいた。


藤田は既に自室で寝ている。

さっき、すぅ…すぅ…と規則正しい寝息が小さく聞こえたのだ。


目が冴えてしまったからなのか、

さっき眠っていたからなのか、

はたまた今日の事件で気持ちが高揚してしまっているからなのか。

とにかく眠れない。


布団から出て、ゆっくりと歩いて縁側に出向く。
腰をかけて、夜風に当たりながら空を見上げた。


空には、瞬く星と赤い帽子が、…。

赤い帽子？

…赤い帽子？！

思わず顔をしかめて、目を細める。
確かにあの星空と一緒に赤い帽子が見えたのだ。

でも、今見れば赤い帽子はどこにも見当たらない。

｢…疲れてるのかな……｣と目を擦って、自分を労る。


すると突然、｢疲れてなんかないし、見間違えでもないよ。｣と言う知らない声が正面から聞こえた。

驚いてバッと顔を上げると、そこには奇術師のような格好をした銀髪の男がニコッと佇んでいる。



｢っ…だ、え……。｣

チ｢こんにちはAちゃん。僕の名前は、チャーリー。しがないマジシャンさ！｣

｢……今のところ、私貴方の事殴っちゃいそうなんですけど大丈夫ですか……。｣

チ｢やだなぁ信じてくれないの？っほら。｣

｢わっ、花…？｣

チ｢Aちゃんにプレゼントしちゃう。…信じてくれた？｣

｢……｣

チ｢まだ怪しいって目をしてるね！まぁ構わないさ。だって怪しいもの。｣

｢自覚済みなんですね。｣

梅｢……｣

チ｢そうそう、僕Aちゃんに言いたいことがあってここに来たんだよ。｣



チャーリーと名乗る男は、クルッとその場で回ると笑顔で告げた。









チ｢…僕はマジシャンだから。

君を、現代に返す事が出来る。｣



｢……は…………？｣




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