浪漫.30 ページ31
気づくと、外はザーッ…と土砂降りの雨が降っていた。
雨宿りにはぴったり。
だけど、A達の心は上手く晴れてくれない。
部屋の襖近くに二人で足を崩して座っている菱田と泉、窓の近くで肘をついて雨を見つめているA。
静かな時間、
止まってしまいそうな時間、
声に出せない時間が、しっとりと流れる。
Aは、だんだん肘が疲れてきて、肘を崩して頭を乗せた。
話したらいいのか、話さない方がいいのか。
いくら悩んでも、答えは出ない。
なにか引き金になるような事が起きればいい。
もう誰も自分のことを触れないで欲しい。
そんな都合のいいことばかり考えてしまう。
雨に少しだけ手を伸ばすと、やけに冷たく感じた。
「…誰かの涙みたい。」なんて、詩人みたいなことを考える。
すると突然、降っていた雨がAの目の前でゆっくりと形作っていく。
つまり、目の前で降っていた雨が止まったのだ。
止まって、
形を作って、
段々と、人間の女性のような形になる。
何が起きたのか上手く飲み込めず、「っ…」と言葉が出ない。
梅雨と同じくらい、綺麗で美しい女性。
泉「…?!ちょ…」
菱「Aっ…離れて…!」
「…だ、誰…………?」
«…辛い…?離れたくない……?»
「…は……?」
«私も離れたくない…あの人に会いたいの…»
菱「…泉、あれって…。」
泉「っ…。」
«もう会えないのは嫌…ねぇ、貴方も一緒でしょう…?»
泉「白雪っ…!!」
「うわっ……?!」
菱「Aっ!!!」
気づいた時には、その女性に手を引かれて外に放り出されていた。
菱田が必死に伸ばした手は、空気を遮る。
腕を握られた箇所は凍えるように冷えていて、そのまま腰を引き寄せられる。
「…あぁ、そっか……。」
やけに哀しい目をするから、
抵抗するにも抵抗できないじゃないか。
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雪路 - とっても面白いです!私は藤田さんファンなので、藤田さんとの絡みがたくさんあってすごく嬉しい( 〃▽〃)これからも更新頑張ってください!応援しています☆ (2019年7月28日 23時) (レス) id: c4ea89a33d (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - とても面白いです…!! (2019年7月13日 9時) (レス) id: 3a593efc86 (このIDを非表示/違反報告)
み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - せりなさん» ありがとうございます〜!!!! (2019年7月6日 19時) (レス) id: 60c355a2ab (このIDを非表示/違反報告)
せりな(プロフ) - 面白いです! (2019年7月5日 8時) (レス) id: 9f79ffa67e (このIDを非表示/違反報告)
み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - アミュレットさん» 私もです〜!我慢できずにとうとう夢小説に手を出してしまいました…笑 . 私鏡花ちゃんが好きなので、音二郎さんと取り合われるのが楽しすぎて…! (2019年4月19日 19時) (レス) id: 8c1d057699 (このIDを非表示/違反報告)
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