【明治東亰恋伽】本と、剣と、ハイカラと。【愛され】

浪漫.23 ページ24

ぷりっぷりの女の子を頑張って演じてみる。
これでも演技には自信があるのだ。

実はこの無駄に手の込んだ仕返しをするために、わざわざ髪の毛もリボンを可愛い子仕様にしたのだ。

おしとやかで、
可憐で、
美人な彼女。

自分で言うのもなんだが、中々イケてると思う。


珍しく慌てているように見える菱田が椅子から立ち上がってこちらに来ようとする。

だがそれはさせない。
それをされては、弁明して嘘がバレるから。

お楽しみはこれからだ。


先にAの方から菱田の方へ、タッタッタ…と駆け寄る。



｢春草、また私の家に筆置いていったでしょ。｣

菱｢…っは？！｣

｢朝私が起きたらもう隣に居なかったから…困るだろうと思って、これ。｣

菱｢ｯあんた何言っ…｣

｢…ていうか…その、いってらっしゃいくらいは言わせてよね…。｣

横｢春草に恋人…？どころか…同棲っ…？！｣

A｢嘘だろ春草…そんなっ…｣

B｢有り得ねぇ…あの菱田が…？｣

菱｢ちょっ…！｣

｢あ、そうだそうだ。朝居なかったから今するね。｣

菱｢っ…だかっ…？！｣



菱田が何か言いかける前に、ちゅっ…と頬に唇を当てる。
いわゆる、いってきますのチュー的な奴だ。

この時代に そんなものありはしないが。


あまりに突然のこと過ぎて、頬とはいえ口付けされた事に一瞬飲み込めない菱田。

数秒経ってから、自分のされたことの破廉恥さに口づけされたところを抑えてぶわァァっと顔を赤くする。

周りは、あまりの甘々ラブラブさに声も出ない。









｢じゃあ私外で待ってるね、一緒に帰ろ。｣


菱｢……｣





Aを馬鹿にしたことを、
死ぬほど後悔した。

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