浪漫.50 ページ5
｢帰る方法が見つかった｣？
｢いつか帰る｣？
川上には、言葉に意味が分からなかった。
帰る…って、何処へ？
竹取物語じゃあるまいし。
…確かに、だ。
言われてみれば変なところはいくつかあった。
突然現れた藤田の連れ。
スカアトを履いていた彼女。
袴を持っていなかった彼女。
……そもそも、連れという言葉自体あやふやではないか？
今思い返せば、矛盾なんてそこらじゅうに転がっていたのだ。
それをAがいい子だから、可愛いから、好きだから。
無理矢理蓋をして、見て見ぬふりをしていただけ。
もしこれが本当に、竹取物語のような突拍子もない話だったら。
物語じゃ片付かない、紛れもない現実だったら。
彼女は、一体何者…？
・
・
ハッ…と冷たい風が川上の意識を呼び起こす。
どれだけ思考を巡らしても、どれだけ色んなことを考えても、結局 答えがひとつしかないという事だけは正しい事実だ。
つまりは、本人に聞くのがいちばん早い。
いつものように笑って、茶化すように話しかけに行く。
川｢おうおう真ッ昼間からお熱いこったァ。｣
藤｢ッ川かっ……。｣
｢…っそうですよーだ。音二郎さんには分からないでしょうけど、私達は絆で結ばれてるんですゥ。｣
川｢ほー？俺とは結ばれてねぇってのか。そりゃ寂しいな。｣
｢むっ…ズルい言い方しないでくださいよ！｣
川｢お前の真似しただけだよばーか。
つーか藤田さんよ、今日は俺がAを貸切ってたのに勝手に連れ出すのは酷いんじゃァねぇか？｣
藤｢お前に娘を貸した覚えは無い。｣
川｢だったらその娘とやらに聞きやがれ。今日1日稽古したのは誰だ、ってな。｣
｢あぁもうすぐ言い合いになる。やめてくださいってば。｣
二人の仲の悪さに、呆れてため息をつく。
すると、少し奥の方で菱田と泉が 走ってこちらに向かって来るのが見えた。
この二人を2人で居させるのは危険だと察したAは、｢鏡花ちゃーん春草ー！｣と手を振る。
その笑顔に拍子抜ける二人。
連れ出した時はあんなにピリッとした空気だったのに、この数分間で何があったのだろう。
全く想像はつかないが、取り敢えずAが笑うのならそれで構わない。
そんな中、口ごもる川上は。
｢お前、一体何者なんだ？｣
言いかけた言葉と、
彼女の笑顔と。
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み ゅ ー ぽ む 。(プロフ) - ちょこれーとさん» 私ハピエン厨なくせにそこまでいくのに死ぬほどシリアスにしたい民だから、良ければ付き合ってやってください…最後は幸せにするぞ！！笑 (2019年12月12日 16時) (
レス) id: 60c355a2ab (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - なんかラストに向けてが切ない… (2019年12月10日 19時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
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