酷くしてもいいから好きでいて。【黒】

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「お兄さんさ、女に触りたくて来たんでしょ？」


俺の右半身にピタリと寄り添ってくる未来を見ないように視線を出来るだけ上へと上げる。

あー、今日ちょっと暑かったから半袖着てたんだけど上着持ってくりゃあ良かった。
むにゅ、と胸の感触がダイレクトに腕に伝わんだけど。


その俺の態度が気に食わなかったのか、未来は俺のネクタイを引っ張って自分の方を向かせる。


「おいっ」

と、未来を見下ろすとドーンと胸の谷間と、緩めのワンピースから覗くヒラヒラのついた下着がチラッと見えて、あヤバっ…と視線を逸らす。

するのそれをどう受け取ったのか、未来は俺の背中をそっと撫で始める。



「そっかそっか。たまにいるよそういう人。あなたみたいにイケメンだと色々期待されるじゃん？ そしたらその期待に添えなかったらどうしよって悩んだりしてそうなる場合もあるんだって。若い頃にそうだったって話すおじさんが居たよ」


期待？

悩む？

は、なに？


「大丈夫！私が治るように協力するから！」


終いにはガッツポーズで俺の何かを治療する気らしいこの女。

おいおい、まさかお前……



「ちょっと待て。あんたさ俺をなんだと思ってんの？」

「え………Ｅ、」

「ちげえからっ！！」






.







「だはははっ！！ なにお前ＥＤと間違えられたってかっ！？」


別件の張り込み中、助手席でゲラゲラ笑う先輩を睨む。

笑い事じゃねえし。


「最悪っすわ。なんでまた…」

「そりゃよ、若い男が店に来て金は払うのに女は抱かねえって。まあ、なんかあると思うわな普通」

「……で、それがＥＤ」

「がはははっ！！」

「笑うなっ！ 俺はビンビンすよ！」


て、俺はおっさん相手に何を言ってんだとハンドルに額を押し付けてため息をついた。



「お、出てきたぞ。行くかー」

「……うぃっす」



よし。気を取り直して仕事に集中！







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