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「多分、裏ルートで売られるんじゃないかって。前にここに居た子が、一度やってから戻って来たけど。その後また出て行ったきり帰ってこなくて……っ、」
「そう、なんだ」
震える女の子の腕を擦ることしか出来ない。
私だってこんなの未経験だから、どうしたらいいんだろうかって。
裏ってことは、たまにニュースとかで聞く正式なやつじゃないことだよね。
やっぱりヤクザのする事って最悪。
「私帰りたいっ。お母さんに怒られてもいいからっ、家に帰りたいっ」
「私もっ」
「帰る場所あるだけいいじゃん! 私なんて、私なんて…ぅぅっ」
不安と恐怖に泣き始めてしまった。
まいったな。
私だって泣きたいけど、どう見ても私より若くて多分経験だって浅そうな子たちを見てたら慰め役に回るしかない。
「どこ行くの?」
暫くして泣き止んだから、少し様子を見ようと窓へ移動しようと立ち上がった。
「大丈夫よ、直ぐに戻るから」
カーテンを開けて外を見れば目の前にはコンクリートの壁。
………なによっ!!
どこよ此処は。
出入口は入ってきたドアだけ。
あとはユニットバス。もちろん窓はない。
ガクッと項垂れていれば、ガチャッとドアが開く音がして慌てて皆外したテープを口に貼る。
入ってきた男は二人で、私は知らない人だった。
キョロキョロと彷徨う視線は誰にしようか品定めされてるようで不快だし、みんなはこの後の流れを知ってるからかガタガタと震え始める。
「んんっ!!んーっ!!」
あ、あの子っ……
私に一番に話し掛けてくれた女の子の腕を掴み引っ張って行く。
嫌だって頭を振ってその場に踏ん張るその子に、一人の男が手を上げたから咄嗟にその間に飛び込んでしまった。
てことは、思っきり私が打たれるわけで。
かああっと熱が上がる頬と、泣きたいわけじゃないけど勝手に溢れる涙。
「お前か今日来た奴って」
「ふっ、っ……」
「庇っても同じだぞ。結局はみんなやるんだからさ。まあでも、お前が自ら頑張るって言うなら先にしてもいいぞ? 顔は好みだし」
「っ!」
下品な笑みで品定めされて、ゾワッとする。
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ゆきんこ(プロフ) - 雫さん» コメントありがとうございます!スッキリして頂けて良かったです!次も作品でも楽しんでもらえるように頑張ります!! (2021年6月26日 16時) (レス) id: f67eac9242 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - ネタバレ?ありがとうございました!そういうことなのか、、、スッキリ!話の内容もとてもおもしろかったです!次も楽しみにしてます! (2021年6月25日 23時) (レス) id: 760b825a9a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ちゃむ丸さん» ありがとうございます(^^) (2021年6月25日 22時) (レス) id: f67eac9242 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ丸(プロフ) - ゆきんこさん» 楽しみにしています! (2021年6月25日 18時) (レス) id: b0c8e366a3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - mijeong0102さん» 初コメント有難うございます!なんとなく気付くことありましたか?それっぽいから確実な表現はしてないんですが、気づくとちょっと変かも?ってなればいいな程度なんです(笑)答えは後ほど後書きに+しておきます!これからも頑張ります! (2021年6月25日 7時) (レス) id: f67eac9242 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2021年6月7日 20時