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目黒さんは最初は隣に並んで歩くってことはなかった。
ただ私が着いてきてるか時々確認するように止まっては振り返ってたけど。
だから此処で私が止まってたら、彼はどうすんのかなぁってちょっとした好奇心が芽生えた。
「……来ねぇの？」
「ふふ」
暫く待ってたらピタッと立ち止まり振り返った目黒さんは、着いて来ずにジーッとしてる私にそういった。
私が笑うと頬を掻いて、全身でこっちを向いてゆっくりと長い足を此方へ持ってくる。
「歩くの早かった？ ごめん」
「…………」
驚いた。そんな事を謝ってくる男性に私は出会ったことがないから。
見上げる私の表情をどう捉えてるのか、帽子の鍔をクイッと上げ「おいで」と小さく口元に笑みを作った彼に胸の奥で小さく鐘がなったような気がして、ギュッと服を掴んだ。
「A、運動不足なんじゃね？」
「なんで？」
歩くの遅いから？
そんなに急いだ生活してないからなんだけど。
「いやなんか息上がってね？」
「あー、久しぶりにこんなに歩いたからかも」
普段は職場と家の間くらいしか歩かないし夜行性な私の暮らしをしていたら、こんな風に散歩する事も滅多にない。
「若いんだから運動しろよ」
「してるよ」
「なに？」
「セッ クス」
少し前を歩いていた目黒さんを今度は私が通り越して振り返る。
するとフガフガと何か言いたげに顔を赤くしていた。
「おまっ、真昼間から堂々とっ」
「誰もいないじゃーん」
「そういう問題じゃねえからっ」
また歩き出した目黒さんは、私の頭をペシッとして通り越していく。
でもさっきのように置いてくことはなくて、ちゃんと私の気配を感じてくれてるようだった。
周りから見た私たちは、どんな風に映ってるだろう。
恋人？ 夫婦？ 兄弟？
心地良い風に、少し汗ばんだ身体がさらりと触れて気持ちがいい。
こんなに穏やかな午後久しぶりすぎだ。
こんな人と一緒に居られたら……
その先を考えそうになって、ふるふると頭を振って止めた。
考えちゃ駄目。
彼はお客さんなんだから。
「俺、こっちだから」
適当に歩いて出会った場所に戻ってくると、目黒さんとはそこでお別れした。
次会うのは"A"ではなくて、"未来"なんだろうなって、去っていく大きな背中を見ているとまた胸がギュッとなった。
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ゆきんこ(プロフ) - 雫さん» コメントありがとうございます！スッキリして頂けて良かったです！次も作品でも楽しんでもらえるように頑張ります！！ (2021年6月26日 16時) (
レス) id: f67eac9242 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - ネタバレ？ありがとうございました！そういうことなのか、、、スッキリ！話の内容もとてもおもしろかったです！次も楽しみにしてます！ (2021年6月25日 23時) (レス) id: 760b825a9a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ちゃむ丸さん» ありがとうございます(^^) (2021年6月25日 22時) (レス) id: f67eac9242 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ丸(プロフ) - ゆきんこさん» 楽しみにしています！ (2021年6月25日 18時) (レス) id: b0c8e366a3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - mijeong0102さん» 初コメント有難うございます！なんとなく気付くことありましたか？それっぽいから確実な表現はしてないんですが、気づくとちょっと変かも？ってなればいいな程度なんです(笑)答えは後ほど後書きに＋しておきます！これからも頑張ります！ (2021年6月25日 7時) (レス) id: f67eac9242 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2021年6月7日 20時
