▼これは仕事だ。 ページ4
・
朝イチの調査報告会議が終わり各自部署へ戻り自身のデスクの椅子に手をかけた時、捜査一課課長に呼ばれた。
「行方不明っすか。へえ、ここ三ヶ月で……十五人か。みんな十代後半と若いっすね」
渡された資料をペラペラと捲りながら重要そうなとこを確認していく。
そんな俺の隣から先輩が覗き込んで、「これがどうかしましたかー？」と欠伸を堪えながら尋ねてる。さては昨日の飲み会二次会だけで終わらなかったとみた。
良かった。さっさと帰ってて。
「今度ウチで扱うことになりそうでな」
「でも未成年者の行方不明って生活安全課じゃないんすか？家出とか」
「そっちで扱ってたんだか、きな臭くてな。この前捕まえたチンピラがおかしなことを言ってたそうだ」
「なんて？」
どうせうちの仕事じゃないだろって、解放してほしそうに椅子にどっかりと腰掛ける先輩を見てややため息。
「うちの店で売った女がいい金になった、とか」
俺と先輩の目付きが変わる。
売ったってのは物騒だよな〜。後頭部を掻きながら隣にやってきた先輩へ視線を流した。
「今回は四課と協力しての捜査になるかもしれん。お前らには潜入捜査を頼みたい」
「うっす」
「りょうかーい」
以前の詐欺捜査では二課の応援で捜査に借り出され、その時にも関わった四課。
主に暴力団関係の事件を扱う四課が出てくるってことは、こりゃあ確かに何か起きそうな予感はあるな。
「潜入捜査なら目黒、お前だな」
「えぇっ、なんで？」
「これ見てみ？」
資料の一部を指でトントンとされ、そこに視線を落とせば「ソープ…マジか」と目元を手で隠す俺。
「一般客に混るんだ。マル暴には向かねえや。だからお前なんだろ？ わ か て！！」
「…はあ、」
四課にいる刑事、通称マル暴はなんせ見た目の治安が良くないから潜入捜査には向かねえんだろうけど、それで若手の俺に白羽の矢が立ったわけか。
それは良いとして、まさかソープねえ。
「行ったことある？」
喫煙所と一緒になってる自販機でコーヒーを買って蓋を開ける、隣では先輩がタバコに火をつけてぷかぷかと煙を上げていた。
空気悪りぃ。今時、喫煙所と休憩所は分けてほしいもんだよ。
「ねえっす」
「ふははっ、さすが色男。んなとこ行かねえでも女には困らねえか！」
「………」
この先輩がなんで三十代後半になっても独身な理由が、なんとなく分かった気がするよ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1451人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - 雫さん» コメントありがとうございます！スッキリして頂けて良かったです！次も作品でも楽しんでもらえるように頑張ります！！ (2021年6月26日 16時) (
レス) id: f67eac9242 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - ネタバレ？ありがとうございました！そういうことなのか、、、スッキリ！話の内容もとてもおもしろかったです！次も楽しみにしてます！ (2021年6月25日 23時) (レス) id: 760b825a9a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ちゃむ丸さん» ありがとうございます(^^) (2021年6月25日 22時) (レス) id: f67eac9242 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ丸(プロフ) - ゆきんこさん» 楽しみにしています！ (2021年6月25日 18時) (レス) id: b0c8e366a3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - mijeong0102さん» 初コメント有難うございます！なんとなく気付くことありましたか？それっぽいから確実な表現はしてないんですが、気づくとちょっと変かも？ってなればいいな程度なんです(笑)答えは後ほど後書きに＋しておきます！これからも頑張ります！ (2021年6月25日 7時) (レス) id: f67eac9242 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2021年6月7日 20時
