15話 投げつけられたパンを受け取る ページ16
生クリーム入りメロンパン。硝子の大好物。
俺は両手に収めたそれをじーっと凝視していた。俺は男のくせに根性がない。土壇場でネガティブになることもないし、何を言ったら良いのかもわかる。緊張と恥ずかしさにどうして勝てないのだろう。女々しすぎる。
自宅の階段を上っている時、すばる兄ちゃんが陽気な表情を浮かべて対向からきた。学校で良いことがあったか、あまねちゃんからメールが来たかどっちかだろう。
「お、あるとじゃん。自転車なかったけど何処行ってたんだよ」
「〜〜っ、なんだよっ」
俺は生クリーム入りメロンパンをすれ違った兄ちゃんに投げつけた。兄ちゃんはバスケットボールをとる要領で両手でそれをぽすんと受け取った。
目に張られた水の膜のせいで兄ちゃんの顔は綺麗に見れなかった。多分、困惑と心配の色がさしていたと思う。俺のやっていることは八つ当たりの何者でもない。分かってる。
俺は階段を上がり自分の部屋のドアを開けた。あると、と兄ちゃんに名前を呼ばれたが構う気になれなかった。
○ side すばる ○
あるとが自室に行ったあと、投げられたものに視線を転じた。ひとつのメロンパン。ちゃんとしたパッケージに入った生クリーム入りメロンパン。「なんでメロンパン？」、俺は頭を掻いた。あるとが泣いている理由とどう関連出来るかすら分からない。
えーっと。
俺はさらに頭を捻ってメロンパンの意味を考えた。メロンパンメロンパンメロンパン。何回かメロンパンと繰り返しているうちに、ある記憶がフラッシュバックした。この丸い形、昔あんなに見たじゃないか。
「てめーまたメロンパン買ってんのかよ」
「いいでしょっ。好きなんだもーん、メロンパン」
中学の時、硝子が購買でよく買っていた。それがメロンパンだ。小学生の時、スーパーに一緒に行った時もコイツはパンのコーナーでよく足を止めていた。最初はよーかいシール目当てでメロンパンを買っていたけど、いつの間にか硝子の大好物のパンに変わっていたのだ。
あいつ。
三星家に行ったのか。一体何処まで知ったんだ。アイツは。
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PP - そうだったんですか。お話の展開や一人一人の色んな個性や想いが丁寧に描かれていて、情景が目に浮かぶようです。何故か私の一番思いだすシーンがお母さんが盛塩をフライパンで煎るシーンです（笑）また素敵な作品楽しみにしてます。 (2016年5月19日 17時) (
レス) id: e76cee042d (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - PPさん» 実はこの作品、レイチェルの家族と、片想いしてる人の家族構成をそのまま持ってきてるんですよね。内容もそれに近付けて、結構重たくしてみました。読んでくださり、ありがとうございます(*^^*) (2016年5月19日 17時) (レス) id: 3a04122313 (このIDを非表示/違反報告)
PP - 追伸☆ごめんなさい！「こんにちわ」のつもりが「こんにちわんだぞ（何の意味だよ）」と…スミマセン！ (2016年5月19日 9時) (携帯から) (レス) id: 0625209047 (このIDを非表示/違反報告)
PP - こんにちわんだぞ☆毎日読み進めてましたが続きが楽しみな作品でした。３姉妹が１０代にして重過ぎる事情を抱えてても明るく生きる姿に勇気をもらいました！ (2016年5月19日 9時) (携帯から) (レス) id: 0625209047 (このIDを非表示/違反報告)
響稀(プロフ) - リクエストの硝子ちゃん完成しました!!サイトにてお待ちしてます！ (2016年4月13日 23時) (携帯から) (レス) id: 0a116ef314 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ：https://twitter.com/seshiru777777
作成日時：2015年12月14日 20時
