らくがきーーー！！ (ページ10)

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ダイジェストページ10

「あら、これは？」

　撫子は自宅の書斎で、とある一冊の本をみつける。

　その本は小さな身長の撫子でも梯子を登らずに取れる場所にあった。

　５メートルの高さはあるであろう書斎は、色んな本が密集している。

　色んな本があった。海外の作家が書いた本から、絶版となった図鑑まで。

　その中で明らかに浮いている一冊があった。

「……む。これはアルバムですか」

　撫子が開いたそれは、写真がいくつも保存されているそれであった。

「お父様のものですね」

　撫子の父親は、撫子を溺愛している。

　母親の死がそれに関係しているのだろうが。

　普段は海外を転々としている父親は、執事によると毎日撫子に会いたがっているという。

　親のことが時々うっとうしいと感じる撫子は、父親が近くにいないことは良いと思っているが。

「懐かしいですね、そういば中庭のブランコが好きでよくのってましたっけ」

　ふわふわ、と風に揺れる中庭のブランコ。

　子供は浮遊感に病みつきになるものだ。

　たかいたかい、もそれに該当するだろう。

　撫子が小学校に上がった時からブランコはしていない。

　遊ぶ、ということが馬鹿馬鹿しくなったのだ。

「……少し、行ってみましょうかね」

　撫子は中庭にいき、蔓がまきついているブランコをみつめた。

「……今思えば、小さい頃は今とは違う無邪気さを持っていたのでしょうね」

　撫子は自分が無邪気であることを自負している。

　胸の中にはピュアな心がある。

　欲、邪、承……。

　べっぴんのワンピースを着たまま、撫子はブランコに座った。

　自分でこくブランコ。

　きこきこと軋む音がした。