らくがきーーー！！ (ページ7)

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学生カップルページ7

「もしかしたら」

　そんなことを思いながら、撫子は購入したばかりのアイスクリームを食べながら振り返った。

　ここは大型ショッピングモールで、たくさんの人が行き交っている。

　撫子はぼーっと学生のカップルを見ている。

　ちょうどアイスクリームを買って会計をすませているところだ。

「…………」

　フードコートは値段が安い食べ物が揃っていて、ファミリー層以外にも学生が多い。

　撫子は適当な席について、小さな口にアイスクリームを運んでいた。

　ぼーっとしているので、その瞳はどこを映しているのかはたからみればわからない。

　だが、その瞳は確かに学生カップルをみつめていた。

　カップルは撫子の席に座り、ポケットからスマホを取り出す。

　カップルは向かい合って座っていて、アイスを撮影するとお互いの体の部位がうつるようになっていた。

「…………」

　撫子はスプーンを止めた。

「このアイス可愛くない？」

「俺のアイスめっちゃ毒々しいんだけど」

　ふたりは撮影に夢中になっていた。

　ふたりの狙いはアイスを撮ることではなくて、【一緒にいること】を他人へアピールすることだろう。SNSがかかせない時代だ。

　リア充、……勝ち組であることのアピール。

　撫子もスマホを取り出した。

○

『別れました』

『彼氏のこと彼氏と思ったことありません』

『彼女が裏切りました』

一体何が？

そんなことを疑問に思うこともない、撫子はSNSにこの前撮った写真をアップしたのだった。

隠し撮り？

盗撮？

いえ、そんなことは重要視されないのでしょう、撫子の前では。