らくがきーーー！！ (ページ4)

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男子と女子の矛盾ページ4

「ねーえー、ウチらの学校ってイケメンいなくな～い？」

「あーっ、ほんっとそれな～」

「イケメン気取りは多いけどねえ」

　ここは女子トイレ。
　撫子は昼休憩にトイレに来たのだが、５人の女子たちが鏡を占領していた。

　鏡の前でアイロンを使って髪の毛を整えたり、化粧を施したりしている。スマホで自撮りしている子や、昨日塗ったというマニキュアを確認している子もいる。

　そんな５人の横を通った瞬間、

(臭い)

　撫子は無表情でそう思った。

　５人のつけている香水の匂いが入り交ざってしまい、異質な匂いとなっているのだ。生ごみの匂いの方がまだマシかもしれない。それほどに酷い。

「隣の学校の佐久間くんって知ってる？」

「あっ！その子、私とバイト先一緒だよ」

「イケメンだよねっ。彼女っているのかな」

「確かこの前別れたんだって」

　撫子はトイレの個室に入り、暫くその５人の会話をなんとなく聞いていた。

✳

「なあ～、ウチの学校の女子ってさあ」

「あ～！ブスしかいねぇよな」

「ハズレ、ハズレ」

「先輩たちの代の時は、今日香さんっていう美女がいたんだとよ」

「知ってるー。兄ちゃんの友達だよ」

「まぢかぁ」

　ここは、撫子の教室。１年５組の教室である。

　次の授業は保健なので、男子と女子にわかれている。撫子の教室は男子が使用する場所なのだが、忘れ物をしてしまったのでちょこっと入らせてもらっている。

　撫子の得意技、空気の術を使い。

　これは存在感を最低限に抑えることによって成り立つ技だ。「え、撫子いたの？」と他所からポカーンとされることは必須。

　人は、自分の興味があるもの以外は全て風景に見えるという。それを駆使した術だ。

「俺達のクラスだったら、一番マシなのはぁ――」

「うーん、誰だろう」

「撫子ちゃんかなあ。身長小さくてかわいくね？」

「年下にみえるよな、俺達より」

「がははっ」

　撫子は無表情で、「はぁ」と溜息をつく。

　いたのか！！！！

　教室にいた男子はここでやっと撫子の存在に気付き、ハッとした。

「女子も、男子も、考えることは一緒なのです」