らくがきーーー！！ (ページ26)

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珍味の話ページ26

神奈川県、横浜にあるゲテモノ街道。

　食用ゴキブリから、カメレオン、豚の目玉や鯨の頬肉など、色んな食べ物を取り扱う街道がある。

　ゲテモノ街道は、知る人ぞ知る存在だ。

　行き方さえも、知る人ぞ知る方法でゆく。

　ベテランの運転手に聞いても、「は？」と言われる道を通る。

　それがゲテモノ街道だ。

　もちろん、ゲテモノ街道で手に入る品物は国の特別な許可を得て販売されているので、違法なものはなにもない。

　輸入されてるものに寄生虫も細菌もいないので、安心して口にできる。

　サルモネラ菌がいると有名なカエルでさえも、加熱処理をせずに食べることができる。

　どのように、誰が、……というのは企業秘密というものだ。

　ゲテモノ街道に来たのは、堤下という少し小太りな男だ。

　腹や頬などに脂肪はたっぷりとついていて、恰幅が良い方である。

　ブランドの良いスーツに腕を通しているし、ネクタイピンも高そうなそれを使っている。

　身なりのいい男だ。

　なのに、顔色がよくない。

　目の下にはクマがあるし、唇の色も少し紫のような色合いが混ざっている。

　ちくちくと痛そうなヒゲも多少伸びているし――。

　堤下は人ゴミをかき分け、ゲテモノ街道の一本道を奥へ奥へと進んでいった。

　ゲテモノ街道は煙草臭いような、生臭いような、獣臭いような、そんな臭いで充満している。

　以前、堤下は取引先の美野さんという男とここに来たことがあった。

　美野さんにランチを奢ってもらい、ゲテモノ料理の魅力に気付いてしまったのだ。

　夢の中でもゲテモノ料理を求めるほどで、仕事も手付かずになるほど。

　堤下は来れる自信はなかったが、美野と来た道を思い出し、再びゲテモノ街道に来たのであった。