訃報 ページ24
「もしもし、飯島です。主人がどうかなさいましたか?
……死んだっ?」
母は二,三度相槌をうったあと、がちゃんと受話器を戻した。
私は母の後ろ姿を見続けることしか出来なかった。
「理奈、今日はお留守番頼めるか? 一人でいられるかっ?」
「ママ?」
「ごめん」
母は財布だけを持って家を飛び出していった。
母が廊下を走る音と、階段を降りる音を最後に何も聞こえなくなった。
母は鍵をしめていかなかった、追いかけようと思ったら追いかけられるのかもしれないけど、きっと私の走る速度では母に追いつけない。
迷子になったらこの家に帰ってこられない。
私はドアの前に立ち、鍵をしめようか迷った。
だけど、母はきっと鍵を持っていかなかった。
母を締め出すことなんて出来ない。このまま待とう。変な人がきても大家さんかお隣さんがきっと助けてくれる。
きっと母に嫌なことが起こった。
それだけしか分からなかった。私はそれだけで憂鬱になった。
床におちたマカロニグラタン。
私はそれの目の前に立ち、じぃっと見た。
割れた食器には近付いちゃダメだよ、と父と母が言っていた。
けど、私には割れた食器の危険性が分からなかった。
私は手を伸ばし、ホワイトソースのついたマカロニを右手でつまんで食べた。
「…………あんまり美味しくない」
母と一緒に食べるはずのマカロニグラタンは、何も味がしないように感じた。
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根菜(プロフ) - 撫子ちゃん好きです(*´ω`*)更新楽しみにしてます! (2017年3月7日 6時) (レス) id: 41b7ea134a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/Rindolu888888
作成日時:2017年1月23日 17時