らくがきーーー！！ (ページ19)

今日:12 hit、昨日:2 hit、合計:3,699 hit

まるさまページ19

「円はもう死んだと聞いたな。お前は今、誰の元で働いているんだ？」

「警察に有用な情報は出さねぇ。言うとでも思ってんのか？」

「こりゃあ戦って、ケリつけて、逮捕した方がいいようだな。それで何もかも白状してもらおうか」

「はぁーっ。欠伸がでちまうねぇ。俺が白状？

　百の拷問を受けても何も話さなかったこの俺だぜ。捕まったところでなにも話さねぇ。

　つか、捕まるつもりもねぇってな」

　しゅるるっ、とヒモが唸る音がした。

　頑丈そうなヒモの先端に、大きな鎌のようなものがある。

　猿はそれをヌンチャクをあやつるように空中で回転させた。

　二本の大きな鎌は、猿の体の一部のように自由自在に動く。

　そして構え、目の前に現れた男と向き合った。

「ほう。俺とまたやりあうつもりか。できれば紅の龍の街みてぇな人の多い場所は避けたいが、

　ここは中心部じゃねぇ、淵の部分だからな。怒られても多少で済むだろう」

「よく言うぜ、お前の眼球、炎の先端みてぇにゆらゆらしてんぞ。

　はやく誰かを斬らせてくれってな……！」

　瞬時、疾風が吹き荒れた。

　ふたりの影は一瞬でなくなり、鎌と刀が鋭い音をたてて響き渡る。

　一般人や、そこらの警察たちにもこの剣戟は目で追うことはできなかった。

　ふたりを目視することさえできず、どこからか響いてくる音だけを聞き取る。

　観客の誰も悲鳴をあげず、誰も彼等を指さすこともせず。

　虚空から音がする時、屋根の瓦がぱりんと割れる音。

　それさえも今いる場所の手掛かりになるのか、不明である。

「ぎひひひひーっ！」

　次第に戦いが熱を帯びる。お互い一歩も譲らない。

　剣戟も消えていく様子がしない。

　
　猿が不気味な笑い声をあげ、戦いを楽しんでいることを紅の龍の街の人間にアピールする。

　街の人間を震撼させる、そんな楽しそうな笑い声だ。