らくがきーーー！！ (ページ14)

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きみとの会話がページ14

「あー！ごめんね、私教室に忘れ物しちゃったみたい。取りに戻るから、先にかえってて」

「あ……、うん。わかった」

　髪の綺麗な女の子。

　身長もすらりと高く、目鼻立ちも整っている。

　清純派な女の子、という印象が強いだろうか。

　女の子は一緒にいた男の子から離れ、教室に向かった。

　ちょうど学校の正門を抜けた時だったので、帰り道といっても引き返すのにそう時間はかからない。

　女の子は下駄箱で上履きにはきかえ、小走りで教室へ行った。

　そこには女の子と同じクラスの男の子……少し頼りなさそうな、だけれどかっこいい男の子がひとりいた。

　学ランを少しも着崩すことなく、髪の毛をツーロックにすることもなく。

　こちらの男の子も清純派、といった様だ。

　夕日が射し込む静かな教室は、甘酸っぱい匂いで満ちていた。

「ごめんね、メールのこと忘れてたや。相談したいことってなに？」

　女の子は忘れ物を取りに来た訳ではない。

　ほんのりと頬を赤く染める少年の男の子の話を聞きに来たのだ。

　女の子はニコニコしながら男の子に語り掛ける。

　男の子は緊張しているのか、蟀谷を掻いた。

「その……クラスに星川ってやついるだろ？」

「ああ、隆盛くんのこと？隆盛くんがどうしたの？」

　星川隆盛……野球部の男の子だ。

「あいつのこと、前田はどう思う？」

　前田、というのは女の子のことだ。

　前田みちる、という名だ。

「うーん……隆盛くんは、ただのクラスメートで友達かな。それがどうしたの？」

「な、なら良かった」

「良かったって？」

「い、いや？前田は俺のことどう思う？」

「虎太郎くんのこと？」

　前川虎太郎。

　今前田の目の前にいる男の子のことだ。

　吹奏楽部に入っていて、目立たない存在であるが成績も優秀。

　顔が整い、性格も温厚であるからか、女の子に人気があった。

「虎太郎くんは、クラスメートだよ。仲の良いクラスメート」

「……そっか」

「違いますねぇ」