Yours ページ10
あたしを抱きしめる広い胸と長い腕。
必死でそこから抜け出そうとするあたしの頭を優しく撫でてくれる。
どうせ今は涙でぐちゃぐちゃだし、大人しく彼の胸に耳をくっつけると、トクトクと聞こえて来るたぷの心音。
恐る恐る彼の背中に手を回すと、きゅっとあたしを抱きしめる腕に力が入る。
だけど。
あたしの彼女への後ろめたさは消えない。
『たぷ…あのね。』
たぷ『会いたかったです。本当に。』
また目頭が熱くなってくる。
そんなこと言われたら。
嘘でも嬉しいって思ってしまうあたしは本当にバカタレだ。
『…頑張ってた？』
たぷ『たくさん話したいことあります。』
『ん…でもね、あたし…』
たぷ「何で？」
『え？』
冷静になってみたら。
あたしはたぷが話してたことは何一つわからない。
なのによく通じてたなって。
今更思い返した。
たぷ「何で帰るの？何で離れようとするんだよ？死ぬまで待つんだろ！？」
あたしを頭ごと抱きしめたまま、頭上で聞こえる余裕のない声。
それすら愛しく思ってしまうあたしは病気だ。
たぷからは離れられない。
立派な病気。
ねえ？
そんな風にされたら
またあたし期待してしまう。
ダメだと言い聞かせてるのに。
『見たの。』
今まで黙っていたあたしが口を開けば、不安そうに少しだけ距離を開けてあたしの顔を覗き込む。
たぷ「何を？」
凛々しい眉毛を下げて、大きなタレ目をきょとんとさせて。
心なしか声が震えてる気がする。
『たぷには…大事なっ…人がい、いたんだね。』
うまく言葉が出てこなくて。
喉の奥が詰まるようで上手に話せない。
たぷ『大事な…人…？』
とぼけなくてもいいのに。
見たって言ってるんだから。
『今日…一緒に帰ってきた女性が、、いたでしょ？訓練所から。』
たぷ『見ましたか…？』
ほら。
ほらね。
認められると胸が締め付けられて、そのまま息ができなくなるほど苦しいのに。
否定してって願ってる愚かなあたし。
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めい(プロフ) - mipichan11さん» mipichan11さん、こんばんは。共感して頂きありがとうございます。あたし自身も、この主人公ちゃんはあたしにないものを持ってる素直な女性で、書いていて楽しかったです。その反面難しくもありましたが…笑 また次作でお会いできるのを楽しみにしています。 (2017年5月17日 1時) (
レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 莉緒さん» 莉緒さん、コメントありがとうございます。そう言って頂けるとあたしも嬉しいです。全ての皆様に共感して頂ける作品にするのは難しいですが、あたしの拙い作品を楽しんでいただける方が少しでもいたら幸いです。また自作でお会いできるのを楽しみにしています。 (2017年5月17日 1時) (レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
mipichan11(プロフ) - お疲れ様でした！とっても素直な主人公に共感し楽しめました。また新作楽しみにしていますね。 (2017年5月17日 0時) (レス) id: 8ad7cc6137 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - めっちゃよかったです！ (2017年5月16日 20時) (レス) id: 25146adc40 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 莉緒さん» 莉緒さん、こんばんは。とっても嬉しいコメントありがとうございます。そう言っていただけると作者冥利につきます。よかったらもう少しだけお付き合いください。 (2017年5月16日 20時) (レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい
| 作成日時：2017年3月4日 20時
