Yours ページ8
彼に引かれてる手から熱が伝わって、じんわりとドキドキするのがわかる。
だけどこの温もりを捨てなきゃいけないから。
強引だけど優しく、あたしをタクシーに引きずり込んで向かうたぷの家。
たぷが運転手さんに韓国語を話す横顔も、あたしの手をきゅっと握る仕草にも慣れてしまって、これから先忘れていけるのか恐い。
たぷ『入ってください。』
何も言えず、何も聞けないままたぷの家に着いてしまって、玄関の扉を通された。
昼間ここに誰かが来て、たぷはあたしじゃない誰かと時間を過ごしたんだって思うと、心臓を鷲掴みにされた様に苦しかった。
靴を脱ぐことさえできなくて、玄関に突っ立ったあたしにたぷは、スリッパを差し出して『どうぞ』と言った。
たぷ『どうしましたか？』
さっきからのあたしの異変に気付いてるたぷは、いつもより少し棘のある様子であたしの顔を覗き込む。
『あた、し…帰らないと。』
たぷ「何で？」
不機嫌そうに韓国語で疑問をぶつける彼に答えられる言葉がなくて、黙って背を向けた。
途端に後ろからドアにドンッと手をついて、たぷの右手が扉を開けないようにドアノブを掴む。
たぷ「何があった？何で何も言わない？」
これが世紀の壁ドンだとしても、そんな甘い空気じゃなくて。
耳元で聞こえるたぷの言葉は理解できない。
その声色で責め立てられてる事だけはわかる。
あたしが悪いの？
勘違いしてるから？
自分を彼女だなんて、そもそも図に乗ってる？
単なる都合のいい相手でしかないのに？
嫉妬なんてしてるから？
一丁前に傷ついてるから？
あたしの中にドス黒い感情がぐるぐると渦巻いて、すぐに涙でいっぱいになるのを感じた。
たぷ「こっちむけよ。」
扉に手をついたたぷの左手が、ぐっとあたしの右肩を引いて自分と向かい合わさせる。
予想外に近いたぷとの距離にも、今はドキドキしない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 330人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めい(プロフ) - mipichan11さん» mipichan11さん、こんばんは。共感して頂きありがとうございます。あたし自身も、この主人公ちゃんはあたしにないものを持ってる素直な女性で、書いていて楽しかったです。その反面難しくもありましたが…笑 また次作でお会いできるのを楽しみにしています。 (2017年5月17日 1時) (
レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 莉緒さん» 莉緒さん、コメントありがとうございます。そう言って頂けるとあたしも嬉しいです。全ての皆様に共感して頂ける作品にするのは難しいですが、あたしの拙い作品を楽しんでいただける方が少しでもいたら幸いです。また自作でお会いできるのを楽しみにしています。 (2017年5月17日 1時) (レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
mipichan11(プロフ) - お疲れ様でした！とっても素直な主人公に共感し楽しめました。また新作楽しみにしていますね。 (2017年5月17日 0時) (レス) id: 8ad7cc6137 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - めっちゃよかったです！ (2017年5月16日 20時) (レス) id: 25146adc40 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 莉緒さん» 莉緒さん、こんばんは。とっても嬉しいコメントありがとうございます。そう言っていただけると作者冥利につきます。よかったらもう少しだけお付き合いください。 (2017年5月16日 20時) (レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めい
| 作成日時：2017年3月4日 20時
