My heaven :muse ページ44
最悪の結末まで考えて、荷物をまとめようかとも思ったんだけど。
ここであたしが出て行ってしまったら。
たぷが追いかけてきてくれる保障なんてない。
このまま忘れられてしまうかも。
そもそももしもそんな展開を迎えるとしても、こんな形で終わらせたくない。
そう思って、クローゼットから引っ張り出したボストンバッグをもう一度閉まって、机に置いた、2人が並んで写ってる写真を手に取った。
『あれ…今日…記念日だ。』
そうか。
記念日か。
ズボラで男勝りな性格のあたしは、すぐに記念日とかを忘れてしまう。
そのくせ女々しいところもあるから結構めんどくさいんだよね。
自分の性格はわかってるつもり。
だからこそよくたぷは何年も一緒にいてくれるなって。
毎年そう思うんだった。
美術品を1つ増やしたくらい、許してあげよう。
記念日だし、たぷの好きなお寿司を作ってあげよう。
手巻き寿司にしたって、どうせあたしが巻いてあげるんだけど。
光物がいいとか魚卵が食べたいとかわがままを言うんだけど。
それでもいい。
豪華にお祝いしよう。
そう思って廊下に出ると、既にたぷも大きな荷物もなくなってる。
反省して返品でもしたのかしら？
まあ、もしあたしの部屋をなくしてあれを置くなら、あたしがたぷの部屋に行けばいいだけ。
どうせあたしはテーブルひとつあれば仕事できるし。
寝室に置くのだけは勘弁してほしいから、それが無難だろうな。
あたしなりにあれこれ考えながら買い物をして家に帰った。
ピーッガチャ
「ふぅーっ、重たっ。あれ？たぷそんなところで何してるの？」
「何って…」
今日の日付に設定された暗証番号を解いて玄関の扉を開けると、たぷが廊下で力なく座り込んでいた。
「Aこそ…どこ行ってたんだよ。」
「へへ。じゃじゃーん。今日の晩御飯は手巻き寿司でーす。さっきはごめんね？」
「買い物？」
「うん。今日…記念日でしょ？」
「覚えてたんだ…。」
覚えてたってゆーか…さっき思い出したんだけど。笑
「さっさと作っちゃうね！」
「A！ん！」
ん？
振り返ると、床にぺたんと座り込んだままのたぷが両手を広げて子供みたいに待ってる。
え、、まさか抱っこじゃないよね？笑
たぷの手を取って「ん？」って目線を合わせてしゃがみこむと。
「おっ！」
ぐっと腕を引かれてたぷの胸の中に収まった。
やっぱりここがあたしの居場所。
毎回懲りずに思うんだけど。
ほんと天国。
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めい(プロフ) - 莉緒さん» 莉緒さん、初めまして。コメントありがとうございます。そう言っていただけるととても嬉しいです。こちらの短編集はお陰様で完結しましたが、これからも作品を作れたらと考えておりますので、よかったらそちらにも遊びにいらしてくださいね。 (2017年4月28日 1時) (
レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - いつも胸がキュンキュンするお話で、とても楽しいです。 (2017年4月28日 0時) (レス) id: 25146adc40 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - まいこさん» まいこさん、こんにちは。ありがとうございます。あたし自身も、My heavenは特にお気に入りのお話なので、まいこさんにも気に入っていただけて嬉しいです。よかったらもう少しだけお付き合いください。 (2017年4月21日 17時) (レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
まいこ(プロフ) - My heaven最高です！どれも素敵な話ばかりで毎回楽しみです！！ (2017年4月21日 17時) (レス) id: baec6281f0 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - fdr63dgaさん» fde63dgaさん、こんばんは。コメントありがとうございます。こちらこそいつも読んで頂きありがとうございます。今後も頑張ります！ (2017年4月12日 22時) (レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい
| 作成日時：2017年3月22日 1時
