Last farewell :He is ページ37
彼女は覚えてるかな？
俺たちが初対面じゃないってこと。
まだまだ彼女が下っ端で、ADとして現場を走り回っていた頃。
俺も俳優業を始めたばかりで、初のシリーズ作品だった。
大先輩達に囲まれて、ド緊張の中でロケをしてたっけ。
そん時に、出演者や先輩スタッフに必死にコーヒーを配ってたのがAさん。
年下の俺にも敬語を使って、息を切らしながらコーヒーを渡してくれた。
「あ、ありがとうございます…。」
「いえ、お疲れ様です！秋田は寒いのであったかくしてくださいね！出番はまだ先なので車内で待機していただいても大丈夫ですよ！」
あれこれ捲し立てたかと思ったら、台風の様に走り去って行った。
雪国での撮影はなかなかハードで。
耳当てすらしないから耳と鼻が真っ赤になった、くしゃくしゃに纏めたお団子頭が遠ざかっていくのをいつまでも眺めた。
「ヒョン。あの人誰？」
「ん？ああ。新しいスタッフだろ。父親がKBSの人事部長とかで、お偉いさんの娘なのに自分の子供を下っ端からやらせてるらしい。公平さが親の鏡ではあるよな。」
「ふーん。」
「あ！それ手伝いますよ！」
重たいものを運ぶのも、出演者を移動させるのも、便利屋みたいに動く彼女を、気がついたら目が追っていた。
「Aさんっ！」
「わっ！」
「へへ。驚きました？」
「TOPさん！びっくりしましたー！どうされました？」
「いや、もうすぐ出番なんですけど、この髪型変じゃない？グリグリしてないほうがいいよね？」
「そんな事ないですよ！とっても素敵です。」
「そお？殺し屋なのにこの衣装も派手すぎるし…いいのか？これで。笑」
「いいんですよ。もう身を隠してないんですから。」
「あーなるほど。Aさんにそう言われると…
「はい！今行きます！…ごめんなさいTOPさん、ちょっと行ってきますね。」
やっと2人の時間を手に入れたと思ったのに。
どさくさ紛れのちょっかいじゃ、彼女には気づかれないらしい。
慌ただしく動き回る下っ端の彼女は、インカムで呼ばれればどこへでも飛んでいく。
俺のところにも飛んできてくれればいいのに。
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めい(プロフ) - 莉緒さん» 莉緒さん、初めまして。コメントありがとうございます。そう言っていただけるととても嬉しいです。こちらの短編集はお陰様で完結しましたが、これからも作品を作れたらと考えておりますので、よかったらそちらにも遊びにいらしてくださいね。 (2017年4月28日 1時) (
レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - いつも胸がキュンキュンするお話で、とても楽しいです。 (2017年4月28日 0時) (レス) id: 25146adc40 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - まいこさん» まいこさん、こんにちは。ありがとうございます。あたし自身も、My heavenは特にお気に入りのお話なので、まいこさんにも気に入っていただけて嬉しいです。よかったらもう少しだけお付き合いください。 (2017年4月21日 17時) (レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
まいこ(プロフ) - My heaven最高です！どれも素敵な話ばかりで毎回楽しみです！！ (2017年4月21日 17時) (レス) id: baec6281f0 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - fdr63dgaさん» fde63dgaさん、こんばんは。コメントありがとうございます。こちらこそいつも読んで頂きありがとうございます。今後も頑張ります！ (2017年4月12日 22時) (レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めい
| 作成日時：2017年3月22日 1時
