SOBER :a drunkard ページ18
酔うと止められない。
Aに絡んで、構って欲しくて、クダを巻いてるってわかってるけど。
気持ちをコントロールできない。
だから毎晩のようにお気に入りのワインを開けて。
Aと乾杯したいのに、Aは帰るなり部屋着に着替えてすぐにノートパソコンを開いてカタカタと仕事に夢中になる。
ラップトップに向かう真剣な表情や、仕事の時だけメガネをかけるのが色っぽくて好きでもあるんだけど。
俺は構って欲しい。
Aをつまみに酒が進む進む。
気がついた時にはベロベロに酔っ払っていて、彼女なしでダイニングテーブルに座っていられない。
富も名声も手に入れたけど。
本当の自分を愛してくれる人なんていないんじゃないかって。
だから入隊したらみんな俺を忘れてしまうんじゃないかって。
白い目で見られるんじゃないかって。
メンバーさえ俺を必要としなくなるんじゃないかって。
いつもいつも不安で。
Aだけは。
彼女にだけは見捨てられたくない。
それって俺をちゃんと愛してくれる存在だってわかってるから。
だから異常な程のかまってちゃん。
Aは鬱陶しそうにしながらも結局ありのままの俺を受け入れてくれる。
だから素直に甘えられるんだ。
「たぷー？終わったよー。おいで。」
その声にいじっていた携帯と抱きしめていたクッションを放り投げてAを抱きしめた。
これ以上ないくらいぴったりとくっついてるのに、抱きしめた腕をキュッと強めたり弱めたり。
その度にくすくすと腕の中で笑うAが可愛い。
「なあA。」
「んー？どしたの？」
ワイングラスをくるくると回しながら深紅の液体を追いかける視線。
俺もそれを眺めながら言葉を繋ぐ。
「俺さ、不安なんだ。」
「…うん。」
グラスを置いて俺の腕に自分の手を重ねるA。
俺の悩みを聞いてくれる時、いつも手を握る。
「2年後も人が俺を必要としてくれるのか。」
「うん。」
「仲間が待っててくれるのか。」
「うん。」
「ファンの反応とか。」
「うん。」
「Aは…」
「待ってるよ。ずーっと。当たり前にここにいる。仲間も、ファンも。たぷがいない人生を考えられる人なんて1人もいない。大丈夫。」
落ち着いたトーンで優しく俺に話すAの声に安心して、気がついたら涙が頬を伝ってた。
“大丈夫”
彼女がくれるこの言葉が、今の俺には1番効力がある。
だからこれが入隊前最後のシャトーペトリュス。
SOBER. Fin..
Crazy dog :mistress→←SOBER :a sober
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 290人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めい(プロフ) - 莉緒さん» 莉緒さん、初めまして。コメントありがとうございます。そう言っていただけるととても嬉しいです。こちらの短編集はお陰様で完結しましたが、これからも作品を作れたらと考えておりますので、よかったらそちらにも遊びにいらしてくださいね。 (2017年4月28日 1時) (
レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
莉緒(プロフ) - いつも胸がキュンキュンするお話で、とても楽しいです。 (2017年4月28日 0時) (レス) id: 25146adc40 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - まいこさん» まいこさん、こんにちは。ありがとうございます。あたし自身も、My heavenは特にお気に入りのお話なので、まいこさんにも気に入っていただけて嬉しいです。よかったらもう少しだけお付き合いください。 (2017年4月21日 17時) (レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
まいこ(プロフ) - My heaven最高です！どれも素敵な話ばかりで毎回楽しみです！！ (2017年4月21日 17時) (レス) id: baec6281f0 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - fdr63dgaさん» fde63dgaさん、こんばんは。コメントありがとうございます。こちらこそいつも読んで頂きありがとうございます。今後も頑張ります！ (2017年4月12日 22時) (レス) id: 362d41b39c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めい
| 作成日時：2017年3月22日 1時
