人見知りの神覚者様。 (ページ44)

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「どうなってるんだ、カルド、A。展開された空間魔法がなくなっちまったぞ？」
「考えられることがあるとすれば1つ。時空魔法で、時を戻した」
「時空魔法？イノセント・ゼロか？」

カルドもAも答えない。

ライオはほうきを呼び出した。

「カルド、A。ここは任せたぞ」
「わかりました」
「ウォールバーグさんをお願いします」

ライオはほうきにまたがり、振り返って言った。

「誰に物言ってんだ？俺様だぞ」

そして空に飛んで行った。

「何をしておるマッシュ・バーンデッド！？奴の狙いは貴様じゃ！今すぐ逃げ」
「年寄りには優しくって育ちましたんで、自分」
「(このワシにそこら辺の老人と同じ感じの扱いを…)」
「フフフ…さすがはマッシュ・バーンデッド…わざわざ会いに来てくれるなんて嬉しいよ我が息子よ。さぁ私と共に行こう」
「えぇー…」

無邪気な深源(イノセント・ゼロ)の来い、というものにも“えぇー”と返す。

「来るんだ」
「えぇー…」

先ほどよりも声が一層低くなる。圧も加わった。
それにも“えぇー”と返した。

「そうか…ならば強引に連れて行くことにしよう。その前に」

ウォールバーグを繭のような物が覆う。

「これは！」
「校長っ」

手を伸ばしたマッシュもそれに飲まれてしまう。

「肉体の度重なる組みかえによって私は他人の魔法を奪えるようになった。さっき先生から闇魔法も手に入れたように。そして次はウォールバーグ、貴様の空間魔法をいただく」

繭のようなものを突き破り、マッシュがウォールバーグを掴んで出てきた。

「もう遅い。スペーズサクリファイス」

無邪気な深源(イノセント・ゼロ)の放ったひし形の光が、山をひし形に貫く。

「え、待って急に山に穴開いたんですけど…」
「仕事がAにいきますね」
「はああ…どうせイノセント・ゼロでしょうね…」

Aは自然管理局の局長なのだ。

「(なんとワシの魔法か…それだけじゃない。魔力のキャパシティにこれだけの差があったとは…)」
「ヤベー…」
「この世を統べる力を得た。世界は私のものだ。マッシュ・バーンデッド、次は貴様だ」
「(まずい…彼までとられてしまったらワシらの希望は)」

マッシュは無邪気な深源(イノセント・ゼロ)に殴りかかった。

「効かないなァ」

もう一度マッシュは振りかぶった。

「効かないと言っている」

しかし止められる。

マッシュの足を先ほどと同じようなものが包んだ。

「危ない…」