人見知りの神覚者様。 (ページ22)

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魔法界に13本あるとされる最古の杖。杖は選ぶ。天賦の才の持ち主だけを。そして、その杖は持つ者に祝福をもたらす。杖の名は“マスターケイン”という。

「チーム戦なのになんでバラバラにさせられるんだよ！クソが！」
「大変だ。フィンくん探さなきゃ」
「これ、めちゃくちゃヤバイんじゃね？一刻も早く探し出さねぇと」
「(あいつら絶対まずいことになっているな)」

ハートチーム、かなりまずいのではないだろうか。

「ごめんなさい…お願いします…許してください」

聞こえてくる謝罪。
なんだなんだとフィンが覗く。

「(カルパッチョ…！刃物が肩に刺さってる)」
「上を目指せる人間は生まれた時から決まってる」
「ぎゃああああああ」
「才能は平等には振り分けられない。だからこそ身の丈に合った人生を歩むべきだ。分かったか、ザコ」

カルパッチョは水晶を割り、歩き始めた。

「(ヤバイ、動き出した)」
「なにしてるの」

焦るフィンに話しかけるカルパッチョ。

「僕は壁ですが…」
「面白いね君。君、フィン・エイムズじゃないか」
「(えっ、なんで僕のこと…)」

名前を言い当てられ、少々焦るフィン。

「内部進学ボーダーギリギリの」
「(いつの間にか悪目立ちしてた)」
「よく覚えている。なんでこんな奴がイーストンにって…そんな君が神覚者選抜試験とは…兄貴と姉貴のコネか？僕はひたすら不快に感じるんだ。君みたいな才能ないゴミを見るとね。渡せよ、その水晶。相応しくないだろう、お前みたいな奴は…早く渡せ」

どんどんフィンを威圧するカルパッチョ。

「(こえーーーー…威圧感ハンパないんですけど…。でもこの水晶にはマッシュくんの未来が…僕がするべき選択は…この水晶を守…)」

フィンの胸と口から鮮血がほとばしる。

「！」

Aが目を見開く。

「何しようとした？今…弱いくせに一丁前に…何をしようとしたって聞いてるんだ」
「(これは本当に怖い時にくるあの独特な雰囲気…血管が縮こまるような…心臓が冷たく締め付けられるような…)」
「どうせその水晶はとられるんだ。素直に渡して痛い思いをしない方がいい。君もああなりたくないだろう？二度は言わない。さあ渡せよ」
「(僕はまだ固有魔法を使っていない。そこにかける) デンジャラス」
「(ん？何も起こらない…？逃げる為のウソ。すぐ追いつける)」
「チェンジズ」

フィンは自身の固有魔法を唱えた。