『神覚者である彼女は、魔法界一の変人と言われている』【MASHLE】 (ページ13)

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「…アンナ…ぁ…俺の妹は難病なんだ
アザが消え、魔力を失っていくという
魔力がなくなれば、いずれアンナは国に渡される

アンナのことを異物扱いした両親とも縁は切った
こんな腐った仕組みを作ったのは魔法局だ
だから俺は決めたんだ

俺が神覚者になってアンナを助けるって
この腐った仕組みを変えてやるって」

『……』

ただのシスコン野郎かと思いきや、めっちゃ良い奴じゃん

何か少し勘違いしてたかも

『凄いね、ランスくん
妹ちゃんの為に、わざわざイーストン魔法学校に入って神覚者になろうと思うなんて
努力家じゃん』

私がそういえばランスくんは嘲笑気味に笑った

「はっ、俺が努力家だと？
な訳あるか
俺はアンナの為ならどこまでも非道になれる
なんだってできる
そんな奴が努力家なわけ…！」

『それが凄いって言ってるんだよ
普通、誰か1人の為にそこまでできないよ
ましてやランスくん、自分の人生の全て賭けちゃってるし
あれだね、ランスくんは不器用だけど優しい子なのかな？』

「な…！」

魔法局に抗議しに行くわけでもなく、難病を治す方法を探すわけでもなく、仕組みを作った魔法局に自分が入って根本的に直そうなんて普通は思わない

普通ならそんな遠回りなんてしない

何となく不器用な人間なんだなぁ…って思って言ったつもりだったけど、当の本人は狐につままれたような顔してフリーズしてしまった

『ん？おーい、大丈夫？』

「っ…」

『おーい』

「ははっ！」

『うわっ！ぇ？こわ』

止まったこと思いきや、急に笑い出したよ

この人

「不器用で優しい…か…」

『笑う要素あったか疑問』

「A…俺は決めた」

『もう笑わないことを？』

「アンナの為に神覚者になることを目標にするのは変わらない
それと同時にお前の居場所を作ってやる
何なら一緒に神覚者目指したらいい」

『ぇ』

居場所を作ってやるって発言には、少しときめたいけど神覚者になればいいとかそれは聞き捨てならんぞ。

いや、だって私、神覚者ですもん

あなた達より1個上ですから

何か騙してるみたいで凄く嫌だな

『いや、あのね、ランスくん
実は私…s…』

“神覚者なんだよね”

そう言おうとした瞬間だった

突然、地響きのような音がここら一体から聞こえ呆気にとられた瞬間に、何とも目の前にあった迷路の壁がぶち破られた

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