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四十六 ページ48

翌朝、早くに目が覚めたのだが、頭が上手く働かない。なので顔を洗い終えた後に、太陽の光を受けて影を作っている木を見つめた。

朝の太陽は、体感でも物理的にも若干速い。木の枝を拾って、影が変わるたびに目印をつけて観察した。日時計。古代エジプト人と同じことをしていると考えると、それはロマンってやつじゃない?



日時計はすごく楽しい。

小学生の時、授業で同じような実験をしたのを思い出した。内容的には、今やっていることと大差は無いけれど、私を嫌いだったある一人の無意識な横暴と、それの取り巻きの作為的なアレで、私はその実験の時に用具に触れることも出来ず、集団の後ろの方で背伸びをしながらそれを見ているだけだった。

家に帰るとき、西日だったけれど一人でその実験をした。悔しかったから。とても。

綺麗なプリントと鉛筆は無かったけれど、今と同じで木の枝と地面があったから、私は思う存分楽しんでやった。それがあいつらに対する小さな復讐だったことは、誰にも言っていないけど。




「なにを、しているんですか?」


声をかけられた。


『あ、おはようございます。眼を覚ますために、日時計をしているんです』



一緒にやりますか?楽しいですよ。と言おうとしたが、その人は不思議そうな顔をしたのでやめた。

いや、でも、スコップみたいなのを持って泥まみれなあなたの方がだいぶ不思議ですよ、と口先まで出かかった。




『あなたは、何をしていたんですか?』

「僕は穴掘りをしていました。せっかくここに穴を掘ろうとしたら、天女さまがいたんです」



どけろ。そう言わんばかりの口調だなこいつ。
顔も可愛いし髪もふわふわしてるけど、口は悪い。タイミングさえ違かったら最高だったな。



『残念ながら、私は満足のいくまでこの実験はやめられません』

「実験?」

『はい。落ちている木の枝と、物体の影さえあれば出来る素晴らしい実験です』

「だったら僕の穴掘りだって、鋤と土さえあれば出来る素晴らしいことです」



大人気ない自分に内心呆れる。でも



『でもそれだけじゃ意味ないんじゃないですか?』



かり、とまた印をつけて彼に言う。



『ただぽっかりと空いているだけの穴は不自然ですよ。自然の穴は、必ず何かがそれを塞ぐし、落とし穴だって何かで埋まらなきゃ意味がないでしょう。
あなたがその趣味をするためには、道具が一つ足りないのですよ』



彼が息を小さく吸った音が聞こえた。

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まる(プロフ) - いおらんさん» ありがとうございます!コメントとても嬉しくて励みになります! (2019年8月2日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
いおらん(プロフ) - とても話が好みで楽しく読ませてもらってます(^^)更新頑張ってください! (2019年8月2日 12時) (レス) id: 60ac9a4c80 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 桜ノ夢さん» ありがとうございます!初めての作品なのでとても緊張しながら書いているのでとても嬉しいです。タイトルについてはこれからのストーリーをお楽しみにしていてください! (2018年11月18日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ夢 - まるさん!この作品とても面白いですね!私、これ読んだ後、「ふぅ〜面白かった…な…え!?何この題名!?夢主消えるの!?」って思いましたから← (2018年11月13日 22時) (レス) id: 3556d0a5e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まる | 作成日時:2018年11月13日 21時

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