二十五 ページ27
吉「ほぉ…これはこれは、ミスが全くありませんね」
吉野先生は、渡した書類をチェックすると並んで座っている私と小松田さんを感嘆したように交互に見た。
小松田さんは、得意げな様子で褒められるのを待っている子供のようだ。だが一方の私は、慣れない言葉や字体に惑わされてだいぶ頭が疲れていた。
こう言うのもアレだが、私の頭が良かったのが幸いだったのだろう。
そりゃあ、平成の丸文字やら何文字やらの汚い字体に慣れている人たちじゃこの仕事をこなす事も慣れる事も難しいだろうな。そうしたら、仕事なんかしたくなくなって当たり前だ。
以前、ここにいた女の子たちに少しだけ同情した。少しだけね。
小「りりこちゃんのおかげですっ」
『え?いや、私は、普通に仕事をしただけですっ』
吉「比較対象の問題でしょう」
おお…これはまた辛辣な事を言うのだなぁ。小松田さんが理解出来てないのを良いことに。
吉「にしても、私と小松田くんだけだったら少なくともあと4日はかかる量でしたよ」
あれで4日かよ。と毒づいたことはナイショにして、
『事務処理は慣れているので、やり方さえ覚えれば、出来ます』
と、仕事が好きなアピールをした。仕事しない私に存在意義は無いとこの数時間で考えており、そして、それがここで生きて行く上で最善だと結論づけたから。
『算盤さえあれば、細かい計算も出来ます。書類の形式も、数パターン手本を見せて頂ければ覚えられます。お茶出しも、掃除も、全て、前の世界で20年以上やっていましたので』
真剣に吉野先生の目を見てお願いした。
小松田さんがどう思っているかはこの際置いておくとして、とりあえずは、ここのボスの吉野先生に認められよう。
58人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まる(プロフ) - いおらんさん» ありがとうございます!コメントとても嬉しくて励みになります! (2019年8月2日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
いおらん(プロフ) - とても話が好みで楽しく読ませてもらってます(^^)更新頑張ってください! (2019年8月2日 12時) (レス) id: 60ac9a4c80 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 桜ノ夢さん» ありがとうございます!初めての作品なのでとても緊張しながら書いているのでとても嬉しいです。タイトルについてはこれからのストーリーをお楽しみにしていてください! (2018年11月18日 19時) (レス) id: 3f7caaff83 (このIDを非表示/違反報告)
桜ノ夢 - まるさん!この作品とても面白いですね!私、これ読んだ後、「ふぅ〜面白かった…な…え!?何この題名!?夢主消えるの!?」って思いましたから← (2018年11月13日 22時) (レス) id: 3556d0a5e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まる | 作成日時:2018年11月13日 21時