117. ページ31
Aは走ってある人を探している。
『どこにいるのよ……ん?』
しばらく走っていると、街の所々に見たことのない置物が設置されているのに気がついた。
『何これ?』
Aはその置物は気になったが今はそれどころではなかった。
しばらく走り続けていくと、ようやく探していた人物の後ろ姿を見つけた。
『見つけた……太宰!!』
Aは太宰を見つけ、走って彼の前に行く。
太「やあA、私に会いに来てくれるとは嬉しいねえ
そんなに息を切らせてまで私に会いたかったのかな?」
『今はそんなこと云ってる場合じゃないの判ってるでしょ?
太宰、この騒動を止められるのは今は貴方しかいない
お願いします、力を貸してください』
Aは太宰に頭を深々と下げて懇願する。
太宰はまさかAが頭を下げてまでお願いするなんて思ってもいなかったようで、驚愕している。
太「……A、顔を上げて」
Aは素直に顔をあげ太宰の顔を見る。
Aのアメジストのような瞳と、太宰の赤みを帯びた茶色の瞳がぶつかり合う。
太「まさか、ポートマフィアの秘書武官様に頭を下げられる日が来るなんてね
君に一つ教えてあげよう。私は元々、この騒動を止める心算だったのだよ
もうじき敦君がQの呪いの人形を持ってやってくる
敦君がここに来たとき、その時は我々の勝利だよ」
『やはり、あなたには昔から助けられてばかりですね
無駄足でしたね』
Aは微笑しながらその場を去ろうとした。
太宰がAの腕を掴む。
太「A、私は別に君の事を恨んだりしていないからね?」
その言葉にAは目を見開くが、とぼけたような顔で云う。
『なんのことでしょう?では私は中也の処にもどりますので』
太宰の手が離れ、今度こそ戻ろうとした時、Aは足を止め振り返った。
『ありがとう、太宰』
太「!」
そう一言だけ云うと太宰に背を向け中也達の元へ帰った。
太「任せなよ、A……」
太宰もまたAに背を向け、逆方向に歩いていった。
591人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紫陽花 | 作成日時:2018年6月3日 22時