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Aは走ってある人を探している。



『どこにいるのよ……ん?』



しばらく走っていると、街の所々に見たことのない置物が設置されているのに気がついた。



『何これ?』



Aはその置物は気になったが今はそれどころではなかった。



しばらく走り続けていくと、ようやく探していた人物の後ろ姿を見つけた。



『見つけた……太宰!!』



Aは太宰を見つけ、走って彼の前に行く。



太「やあA、私に会いに来てくれるとは嬉しいねえ


そんなに息を切らせてまで私に会いたかったのかな?」



『今はそんなこと云ってる場合じゃないの判ってるでしょ?


太宰、この騒動を止められるのは今は貴方しかいない


お願いします、力を貸してください』



Aは太宰に頭を深々と下げて懇願する。



太宰はまさかAが頭を下げてまでお願いするなんて思ってもいなかったようで、驚愕している。



太「……A、顔を上げて」



Aは素直に顔をあげ太宰の顔を見る。



Aのアメジストのような瞳と、太宰の赤みを帯びた茶色の瞳がぶつかり合う。



太「まさか、ポートマフィアの秘書武官様に頭を下げられる日が来るなんてね



君に一つ教えてあげよう。私は元々、この騒動を止める心算だったのだよ



もうじき敦君がQの呪いの人形を持ってやってくる



敦君がここに来たとき、その時は我々の勝利だよ」



『やはり、あなたには昔から助けられてばかりですね


無駄足でしたね』



Aは微笑しながらその場を去ろうとした。



太宰がAの腕を掴む。



太「A、私は別に君の事を恨んだりしていないからね?」



その言葉にAは目を見開くが、とぼけたような顔で云う。



『なんのことでしょう?では私は中也の処にもどりますので』



太宰の手が離れ、今度こそ戻ろうとした時、Aは足を止め振り返った。



『ありがとう、太宰』



太「!」



そう一言だけ云うと太宰に背を向け中也達の元へ帰った。



太「任せなよ、A……」



太宰もまたAに背を向け、逆方向に歩いていった。

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作者名:紫陽花 | 作成日時:2018年6月3日 22時

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