５１． ページ1
太宰は歩いていた。歩調には迷いがなく、踵は絨毯を削り落とそうとするかのように素早く踏み下ろされた。
太宰が歩いているのは市街地に聳えるマフィア本部だった。太宰は独り硝子張りの昇降機に乗り込み、最上階の釦を押して目蓋を閉じた。
昇降機が目的の場所に着くと太宰は目を開いた。その瞳はただ一点、正面の突き当たりにある執務室に向けられていた。
執務室の前に立っていた大柄の黒服が、無言で太宰の進路を阻んだ。二人とも自動小銃を携行している。
太「退け」
黒服の顔も見ずに、太宰が云った。太宰よりも二回りは巨大な見張りが、その一言に身を固くした。気圧されたように一歩下がった。
見張りの反応を待たず、太宰は執務室の扉を開いた。ずかずかと無遠慮に執務室へ入室する。
太宰は広い執務室の中央、大きな死t無机のすぐ前まで来て立ち止った。
執務机の向かいには鴎外が腰掛けていた。
森「おや太宰君。執務室に君の方から来るとは珍しいなあ。紅茶を用意させよう。北欧産のものすごく高価な葉が届いてねえ。饅頭にかけて食べるとこれが絶品で＿＿＿＿」
太「首領。私が何の為にここに来たか、ご存じなのでは？」
その問いかけに鴎外は答えなかった。ただ薄す笑みお張り付かせ、太宰を見ただけだった。やや間を置いてから、鴎外は答えた。
森「勿論だよ太宰君。緊急の用件だね？」
太「そうです」
森「いいよ。その用件が何であれ、認可しよう。
俊英たる太宰君の考えだ。間違っていよう筈がない。君はいつだって私とポートマフィアに絶大な貢献をしてきた。今日もそうであることを願うよ」
太宰は虚を衝かれたように黙った。太宰であっても、鴎外との会話は薄い刃の上を歩くようなものだった。少しでも道を間違えれば手足が落ちる。
そんなこともお構いなしに歩くことができる人間は、秘書である彼女にしかできないのだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マイナスルメ - はいっっ！(＞∀＜) (2019年2月11日 8時) (
レス) id: 6a8f3b13e8 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - マイナスルメさん» アニメ見たことないので今度見てみますね(^^) (2019年2月10日 23時) (レス) id: a94eac29fd (このIDを非表示/違反報告)
マイナスルメ - 紫陽花さんの作品大好きです！(＞∀＜)もう、読んでて飽きない！むしろハマる！(＞∀＜)あと、私、ブラッククローバーと鬼の秘書のコラボが読んでみたいんですけど・・・・・・良かったら、検討してて下さい！OTZ (2019年2月10日 22時) (レス) id: 6a8f3b13e8 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - イズコさん» 検討してみます。 (2019年2月10日 19時) (レス) id: a94eac29fd (このIDを非表示/違反報告)
イズコ - 鬼の秘書版のコナンのコラボを読んでみたいです。 (2019年2月10日 18時) (レス) id: 6bceb10793 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紫陽花
| 作成日時：2019年2月10日 14時
