鬼の秘書 五【文スト】

１３． ページ14

ポートマフィア、会議室＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿






森「ドストエフスキー？」






A「はい。例の『白鯨落とし』の黒幕です。





『誘拐屋』を使い捕えさせました」







この燕尾服を着た男は、ポートマフィア五大幹部の一人、A。







A「奴は盗賊団『死の家の鼠』の頭目。





ですが私の手にかかれば溝鼠も同然です」







『もう少し梃子摺るかと思いましたが……』







森「どんな男かね？」






Aは顎に手をあて少し考える。そしてゆっくりと口を開いた。







A「……魂のない、吸血鬼の様な男……」







森「何？」






A「いえ、何でも」






『…………』






A「所詮は寒地鼠の親玉。私の組織の財力を以てすれば、賭博場のディーラーから巻き上げるより簡単でした」






紅「私の組織、のぅ……」







A「……」







『孰れにせよ、その彼は知る訳です……





マフィアの報復の痛烈さを、身を以て』







紅「ウチの拷問班に遣らせるか？」






A「お待ちを」







Aが紅葉の言葉を遮るかのように待ったをかけた。






A「その仕事、私にお任せ頂けませんか？」







森「君に？」






紅「おやおや張り切るのぅ。組合戦で真っ先に避難壕に逃げた幹部が」







A「真っ先に敵に捕われた幹部殿より適任では？」






紅「……ｲﾗｯ」






『姐さん、ここは一呼吸置いてください』

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