魔王と愉快な仲間達！【派生作品】

敵のメリーお正月In大晦日 ページ5

日向に届いたのは、誰のものかは言うまでもない聖書だった。

「……ラトス、俺、聖書なんか読んだことないんだけど……」
「仕方ないでしょう。突然プレゼント交換などと言われても、俺が準備できるのはそのくらいですから」
「……まぁ、ラトスと喋れる話題が増えるから、いっか」

カリーナに届いたのは、かなり良い銘柄のお酒。……お酒！？

「日向様！！ 子供に何を渡しているのですか！？」
「いや、まさか未成年のカリーナに届くと思ってなくて……」
「俺も未成年ですよ。この中で飲酒できるのは、貴方様だけなんですからね！！」

お酒はカリーナが成人するまで取っておくことにして、マリーナが箱を開けると、中にはチョコが入れられていた。

「わぁっ、美味しそう！！ お姉ちゃん、チョコ大好きだもんね！ ありがとー！！」
「……どういたしまして……」

抱き合う光景は微笑ましいが、その中身がとんでもない殺戮兵器だと思うと……恐ろしい。

「では、最後は俺でございますね……おや？」

箱には小さな拳銃のようなものが入っていた。

「一見するとただの銃ですが……これを贈ったのはマリーナですね？」
「うん！ えへへ、ただの銃じゃないんだよね！ 自分に向けて撃ってみて！」
「自分に向けて撃つ……？」

不安はあったが、いざという時は日向の治癒能力があるので、ラトスは恐る恐る自分に向けて引き金を引いた。

「……っ！？ 冷たっ……水……！？」

髪の先からポタポタとしたたり落ちる水滴。ラトスは、銃の正体が水鉄砲であることを理解した。

「水鉄砲！ ぷしゃーっ！ びっくりしたー！？」
「……マリーナ。少しよろしいですか？」

にっこりと黒い笑顔でマリーナを捕まえるラトスに、マリーナが楽しそうな悲鳴を上げた。

「えっ！？ わーっ、撃たれる！！ 冷たい！！ お姉ちゃん助けてー！！」
「……マリーナを傷つけない。……これ、約束。破ったら……」
「分かりました、分かりましたから、俺を殺そうとしないで下さい！ 全く……」

「……あっ、雪が降ってきたよ」と、黙って窓の外を眺めていた日向が呟いた。

「そろそろカウントダウンし始めても良いんじゃないかな」
「やったー！！ 明けおめ！！」
「……まだ早い。……明けおめ」
「ですから、まだですよ。仕方ないですね……皆さんで数えましょうか」

10！

9！

8！

7！

6！

5！

4！

3！

2！

1！！


「「明けましておめでとう！！」」


こうして、賑やかなクリスマス兼お正月が終わった。

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