満月 ＿BakareA

A self-conscious ページ10

(照れる)





一時間目のチャイムが遠くから聞こえる。




けれど、誰ひとり動こうとしない。







皆座ったままで。





自由気ままに過ごしている。









これが、不良の一日かぁ、と思って見ていると。








隣に松村さんが座って来た。





貴「あ、松村さん。」





私がそう言うと、怪訝そうな顔をして。






北「松村さんとかめっちゃ距離感じるからやめて。


　 せめて、北斗くんにしてよ。」






お願いポーズをする北斗くん。





貴「はぁ…。」





一応先輩なんだけどなぁ。







北「ねぇ、Aちゃんってさぁ。」







って切り出され。



次の言葉を待っていると。









北「可愛いよね。」









貴「……‥っ、はい？」









北斗くんの言葉に訂正を入れようとしたら。






ル「うん、めっちゃ可愛いわ。」


優「癒し系だよね〜。」







って、皆が乗ってきて。





一気に、熱が上がる。








貴「あ、あのっ、やめてくださいッ。


　 私、一般か、いやそれ以下なんで。

　 全然っ、可愛くなんかないんでっ。」






全力で否定する私。






樹「そういうところが可愛いんだよね〜。」



優「やっぱ癒し系だよね〜。」



慎「それさっき聞いた。」


優「あ、そう？」



ル「一般以上に可愛いと思うけどなぁ。」






と口ぐちに言われる。





あぁ、この人数、私一人じゃ相手出来ないっ。





う〜、と頭を抱えているその時。









ル「あれ、大我どっか行くの？」





ルイスくんが京本さんに声をかける。







大「女。」







京本さんはそれだけ言って、ここから姿を消した。








北「大我は今日もかぁ。いろいろ大変だね。」


樹「モテるやつは大変だな〜。」








大変…‥？





きょろきょろ、見ていると。






北「あ、Aちゃんは気にしなくていいよ。」



慎「むしろ踏み込んでほしくないし。」



優「そうだよ、ずっと俺たちの癒しでいてくれ。」







って。




私の頭を撫でる人たち。





一体全体、何のこと……？







訳が分からないまま、その話は流されてしまった。









京本さんっていったい何者‥‥？

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