満月 ＿BakareA

Be late for school ページ8

(遅刻)









貴「やばいっ。」









ベッドから飛び起きること、約５分。




急いで準備して。


荷物をまとめて家を出る。







もう、この時間に出たら完全にアウトだな〜。







とは、思いつつも走ってみた。









学校の校門に着いた頃には、もう１時間目の授業はスタートされていて。






走るんじゃなかった。







重たい足を引っ張りながら、玄関口に行こうとすると。









　「あれ、昨日の…‥。」









不意に後ろから、声を掛けられて。




振り向くと。






貴「あ、田中さん。」






にこにこ、笑顔の田中さんが立っていた。








樹「やっぱ、Aちゃんかぁ。

　 あ、樹でいいよ。」




貴「え、でも…。」




樹「いいよ〜、呼んで〜。」




貴「じゃ、樹さん、で。」




樹「え、それ変っ。」









そう言って、わははって笑う樹くん。




いつも笑顔だな〜、この人。








ん、なんで私の名前知ってるの…‥？









貴「じゃ、樹くんでお願いします。


　 それと‥、

　 樹くん、なんで私の名前を‥‥？」




樹「樹でいいのに〜。


　 え？名前？
　 大我に聞いた。」






樹くんはそう言うと、それがどうかしたのって。




どうもこうも、なんで京本さんが。






貴「はぁ‥‥そうですか‥。」






恐るべし、不良軍団。



いつの間にか、名前まで調べ上げられてる。







事件に出会っただけで。









ぼー、と考えていると。






樹「だいじょうぶ？」








って、樹くんが顔を覗き込んできて。





ちょ、



近いっ。








貴「だ、大丈夫ですっ。




　 あ！授業っ。いけない、忘れてたっ。


　 じゃ、さよならっ。」






そう言って、

樹くんと離れようとしたら。








がし、






と腕を掴まれて。








なんて、早業。







樹「もう間に合ってないじゃん。






　 俺と楽しいとこ、



　 行こ。」









と、校舎と別の方向に歩き出す樹くん。









貴「え、ちょ、樹くんっ？」









振り解くことなんて、まぁ無理で。





そのまま、樹くんに連れ去られることに。

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