満月 ＿BakareA

A nickname ページ41

(あだ名)




お昼休み。




チャイムが鳴ると、慎太郎くんが起きて。





慎「行こ。」



と私の手を取り、教室を出る。






あれから。



私は皆とお昼を取るようになった。




時々、午後の授業をさぼったりして。






今日も、同じように階段を上る。








慎太郎くんがドアを開けると。







優「あー、来た来たぁ。」



北「遅かったね。」






皆が出迎えてくれる。





慎太郎くんの後をひょこひょこついていく。






ル「Aー。」





屋上の真ん中辺りに着くと。




大きな声で抱き着いてくる彼。







貴「ルーくん、暑いー。」




ル「嫌がんなよー。」





慎「うっせぇなぁ。」



樹「いつものが始まった。」






ぎゃぁぎゃぁ言う二人をおいて、お昼を食べ始める。



恒例行事。






樹「ってかさぁ、なんでルーくん？


　 似合わねぇ。」




ル「うっせ。

　 俺だけのあだ名だし〜。」




そう言い、ぎゅうぎゅう首に抱き着いてくるルーくん。





あの日、抜け出して以来。


ルーくんって呼べって何度もお願いされるから。




仕方なく、るーくんで過ごすことに。




ほんと、なんでルーくんなんだろう。







優「えー、俺もあだ名つけてよー。」




慎「俺も、俺もー。」





貴「…え？」





皆一斉に私を見る。



そんなこと言われても‥‥。




懇願するようにルーくんを見れば。







ル「さ、食べよ。」






と、全員無視して定位置につく。



皆不平を溢しながら、お昼に戻った。






私はルーくんの手から逃れ。








貴「大我。」





先輩の元に走る。



相変わらず、皆と離れて食べる先輩。





私の方に視線を向け。




笑顔になる先輩。






二人きりのときは、



大我って呼べって。







大「ん？」



貴「お弁当です。」





先輩のお昼を、



いつからか、私が担当するようになり。




毎日先輩に届ける。






大「さんきゅ。」





先輩が受け取った後、あのやかましい場所に戻ろうとしたら。



がし、と腕を掴まれて。




ん？



と先輩を見ると。







大「一緒に食べよ？」






と、横に座るように促される。





貴「お弁当、でも、あっちに、」



大「あのバカ共が片付けてくれるよ。」






先輩はそう言うと。


お弁当を取り出し、






大「いただきます。」





と、食べはじめた。

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