満月 ＿BakareA

Lured ページ30

(連れ出す)




ルイスくんに連れられて。



私たちは校門を出た。




最寄駅まで走り。





電車が来るのを待つ。








ずっと、無言のまま。






二人とも、何も喋らない。









電車が来て。



がらがらの、冷え切った車内に乗り込む。






ルイスくんに手を引かれ。




隣にちょこんと座る。







濡れた身体に冷気がきつい。




腕をさすっていると。




ルイスくんが手を握り締めてきて。





肩を抱かれた。





振り解こうにも。



目を見てしまい。







そのままの状態で。








がたん、がたんと揺れる。






窓に映る、私とルイスくん。






これから、どこに行くのかな。








ルイスくんが私の肩に頭を預ける。






・








・








・




それから、ものの数十分。




電車の中に座って大人しくしていると。






ル「降りるよ。」







ルイスくんが私の腕を引っ張り。





涼しい車内から、まだ雨の降る外に出た。





また、無言で歩き出す。






傘一本に、二人。




はみ出しながら歩いていると。




ぐい、と引かれて。









ル「濡れる。」







身体が密着する。




さっきから、口数少ないルイスくん。






普段のルイスくんと違って。







なんだか、私の胸には不安の色が混じってきた。







どんどん歩み進めていくルイスくんに、


必死になってついていく。





閑静な住宅街に入り。





その中の小さなアパートに足を踏み入れた。









最上階の奥の部屋。




ルイスくんがポケットから鍵を取り出し。




がちゃりと開ける。








何も言わず。



私の手を握ったまま、部屋に入る。







靴を脱いで。



廊下を進もうとしたら。





急に曲がるルイスくん。





ドアを開けて。







ル「入ってて。」








と、私をそこに入れ。




ルイスくんは奥に消えていった。









私が入ったそこは、








洗面所。







洗面所…‥？







ぐるっと見回していると。




後ろからドアの閉まる音が聞こえ。









貴「……ルイスくん？」








ルイスくんの手には、真っ白なタオル。

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