満月 ＿BakareA

Two persons ページ24

(二人)




貴「なんで、ここにいらっしゃるんですか？」







素朴な疑問をぶつけると。






大「落ち着くから。」







と、その一言だけ返ってきた。








貴「京本さん、皆といるときも、

　 なんだか一人でいるって感じですよね。




　 仲良く、ないんですか？」







なんて、失礼なこと聞いてるんだろう。






そう思っても遅く。もう口から出ていた。







大「別に。


　 あいつらうるさいし。




　 最近じゃ、お前の話ばっか。」





やってらんないといった顔で窓の外を見つめる京本さん。






ま、待って…。





貴「私ですか…？」




大「ん。



　 今日、あいつ見た〜、超可愛かったぁ、

　 今日、あいつ体育だったんだぁ、危なっかしいところが超可愛い〜、

　 窓際に座ってるあいつさぁ、風が吹くともうやばいやばい、



　 とか？」







京本さんからつらつら出てきた言葉に。




絶句。





するしかない私。





そんな私を見て、楽しそうに鼻で笑う。







大「ま、今に始まったことじゃねーし。


　 ストーカーだと思って付き合ってやれよ。





　 っていうか知らなかったの？」





貴「知りませんよ。初耳です。」







窓から心地いい風が吹いてくる。








貴「あ、そうだ。


　 京本さん、皆さんが京本さんは女癖が悪いって。」




大「大きなお世話。」







皆を代表してそう言ったのに。


ばっさり切られてしまった。




敵わない。






貴「‥そうですよねぇ。




　 いつもそんなことしてるんですか？」






って、何気なく聞いただけなのに。




溜息をつかれ。





大「暇な男と女が出会ってすることと言ったらさぁ。



　 それぐらいしかないだろ。」






と呆れたように言われた。






綺麗な顔だから。






許される、んだろうなぁ。




私には止める権利もない。






返す言葉もなくて。





そうですか‥‥、と窓の外に目をやると。








大「お前もさぁ。



　 もっと危機感持てよ。」







と。





危機感？




と思い、見つめ返すと。









大「こういうこと。」









京本さんから綺麗な指が伸びてきて。







顎を捕え。









顔が近づいてくる。









貴「‥‥やめっ。」









と、拒もうとしたとき。









先「おーい、川上。」

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