満月 ＿BakareA

Zeal ページ21

(熱意)




＿北斗






樹「それ、俺だよ。」









ほんと。




自分の耳を疑った。








今、目の前にいる。






まさか、こいつが。









北「……お前。」







樹「ごめん、俺だ。



　 大我じゃない。」








そう言って、俯くこいつの胸倉を掴んで。









北「っざけんな‥っ。」








思いっきり、腕を振る。









が、その手は顔のすぐ側で止まった。









殴れねぇよ。









北「何で。



　 なんで、手ぇ出した？」







そう言い、樹を見ると。





その目は。








樹「お前がここに閉まってある感情と同じだよ。」









俺の胸を指さし。








真っ直ぐ、俺を見つめる。





その目は、揺らぎはしなかった。









北「…‥ちっ。」









俺が制服から手を離すと。







ごめん、と一言言って。



樹が去っていく。









俺はその背中を見つめることしかできなくて。









はぁ、と一人溜息を。









あいつの目。





本気だった。









俺も負けてらんねぇな。









北「さ、行くか…。」









いつもの仲間に会いに行く。

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