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誠実で裏表のない性格に加え、
弟と同い年ってこともあってかすっかり気を許してしまった私はお隣さんとたまに食事を共にする奇妙な関係でいた。
(今日も来るのかな…?
なに作ろうかな?)
礼王くんの好物を食卓に並べたときの人懐っこい笑顔を思い出して思わず笑みがこぼれる。
美玲「A〜!最近なんか楽しそうじゃない?」
横から聞こえた声で現実に引き戻る。
美玲は同じ会社の同期でもあり、大学時代からの親友でもある。
違う部署だけどこうしてお昼休憩を共にすることが多い。
『え、そうかな』
美玲「なんかいいことでもあったの?」
『うーん、いいことっていうか………』
隠すことでもないか、と事の経緯を話すと
美玲「え、なにそれ…恋人?」
『違うよ〜うーん…弟みたいな存在?』
美玲「あんたの弟は名古屋で東京にはいないでしょうが!」
『そうだけど笑』
美玲「ねぇ、あの人との事まだ引きづってる…?」
『………まさか』
美玲「……無理に忘れろとは言わないけど変な方向にはいかないでよ?」
『変な方向ってなに笑』
美玲「弟改め仮恋人的な怪しい関係?笑」
『そんなんじゃないってば笑
……それに私はもうそういうのは暫くいらないから』
美玲「ふーん……ま、Aがいいならいいけど変に深入りしない方がいいよ。
相手がどう思ってるかなんて慮れないんだから。
男女の友情なんて存在しないんだからね…!」
相手がどう思ってるか………
そんな心配不要なのにな。
だって彼だって私をお姉ちゃんみたいに慕ってくれてる。
今の私はこの距離感が居心地がいい。
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作者名:nao | 作成日時:2021年11月19日 22時