【ポッピングシャワー ~恋の予感~】 (ページ5)

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[礼王side]

いざ彼女の家に入るとなってからふと自分が何者か自己紹介していないことに気がつく。

(このままじゃ彼女が不安だろうな…)

と思い、変装グッズをすべてもぎ取り、ありのままの姿で挨拶をした。

「あのっ…ご挨拶遅れましたが、隣人の上村礼王です。えっと…音楽関係の仕事をしています。23歳、O型です！」

…あ、血液型はいらなかった。
職業をどう紹介するか迷って焦ったせいか余計な一言が加わってしまった。
が、時すでに遅し。

目の前の彼女はびっくりした顔をしたかと思えば次の瞬間にはおかしそうに笑いながら俺と同じようにマスクを外して

『同じく隣人の水澄Aです。企業秘書のお仕事をしています。A型です』

と同じように答えてくれた。

(優しい人だな、、、)

マスクを外して微笑んだ彼女は俺と同い歳くらいに見えるけど俺の余計な言動に動ずることなく受け答えする様はそつがなくて俺よりずっと大人だ。

秘書って響きもなんか大人だなぁ…なんて幼稚な考えが頭をめぐる。

そんな俺を他所に彼女が少し困ったように固まった。

(ん？なんか俺また変なことした？)

あっ、俺全身びしょ濡れだった。
このまま部屋にお邪魔したらびしょ濡れに汚しちゃうことになる。

向こうからは言いづらいよな…

と察し、図々しいのは承知の上で、お風呂を借りたいと提案した。

彼女はホッとしたように快く了承してくれた。
うん、言って正解だったみたい。

バスタオルの道ができるのを待っているとなにかを思い出したように彼女がパタパタと奥に消えた。

「…？」

少し待っているとバスタオルと洋服のセットを抱えて俺に渡す。

(あ、着替えを取りに行ってくれたんだ)

「ありがとうございます！」

とお礼を言って受け取りバスルームの扉を閉めて2点セットを見つめる。

(………彼氏のかな)

なんて一瞬頭によぎるのは人類みな同じ思考回路だよね？