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「…Aさんは寂しくない?
俺はAさんに会えなくて寂しいよ」
唐突に囁かれた甘い言葉。
彼の気持ちを知ってしまっているからこそ、分かりやすく一線を引いて、姉として、隣人として、振る舞ってきたつもりだったのに………
彼のいう「寂しい」の意味が分かるからこそどう答えるべきか言葉に詰まってしまう。
なんとか平静さを装い私は彼との位置を浅い方向へと戻そうとする。
『…もしかして酔ってる?』
「……酔ってるよ…Aさんのせい…」
一か八かで描けた言葉のあやに彼が引っ掛かる。
彼がこれ以上暴走しない言葉を懸命に探していると、突然右耳から息を吐く音が聞こえる。
もしや…と思い彼の名前を呼んでみる。
『………礼王くん…?』
「……………スーっ…………」
応答の代わりに彼の寝息が聞こえる。
ホッとした気持ちで私は彼に
『おやすみ……礼王くん…』
と告げて彼との電話を切った。
もう彼との電話は繋がってないのに右耳には彼からの甘い言葉がいつまでも残っていた………
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作者名:nao | 作成日時:2021年11月19日 22時