【ポッピングシャワー ~恋の予感~】 (ページ1)

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傘をさしていてもポタポタと肩が濡れる。
あまりの寒さに鳥肌が止まらない。

(今日の夕飯はクリームシチューにしよう)

そんなことを考えながらスーパーに立ち寄った。

出る頃には収まるかと思いきや勢いが止まらぬ雨の中、なんとか帰路についた。

(は～やっと着いた～～ん…？)

玄関の近くで頭を垂れて座り込む一人の男の姿が見える。

(え………不審者？！)

セキュリティのしっかりしたマンションに限って不審者が出たりするのだろうか……

帽子に、メガネに、マスクに、黒っぽい服といかがわしさ満点の出で立ちの男は端から見たら不審者そのもの。

近づくに近づけず困っていたら男と目が合った。
男は慌てたように立ち上がり

「こんばんは。すみません！こんなところに座り込んでしまって」

と一礼した。
見た目とは裏腹な対応に警戒心が少しほどける。

『いえ…どうされたんですか？』

「鍵を落としてしまって…管理人さんに伝えたんですけど、この雨で対応に時間がかかるみたいで…」

困ったように笑った彼の視線の先には時間と共にますます激しさを増す雨音。

『あの…カフェとかでお待ちになったらいかがですか？』

「あ……なるほど…！
業者さんが来た時に待たせてしまったら申し訳ないと思ってその考えはありませんでした笑」

びっくりしたように苦笑いしながら話す彼をよく見ると服は濡れて黒く見えただけのようだった。

傘をささずに帰路についたらしい彼に傘を貸してあげることもできたけれど、びしょ濡れの彼をこの悪天候の中放り出すのは可哀想に思えてしまった私はつい

『あの…もしよければうちで待ちますか？』

と言ってしまった。