宝石の魔女 (ページ4)

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1人目の弟子ページ4

この国の6割は今のような貧しい人達が住んでいる。
上の人達は旅人や他国の人にこの事実を知られたくないと、ありとあらゆる方法で騙してきた。
そうして付けられたこの国の別名は｢嘘つきの国｣。

人間の醜い所が顕になったこの国のスラム街で、私は腕のいい職人が作ったガラス瓶を買いに来た。

ちょうど先日、薬を作ろうとした際にガラス瓶を割ってしまったのだ。予備を使おうとしたが、その予備もなくなっており、仕方がなくこの国へやってきたのだ。

｢おじさん、買いに来たよ｣

｢あぁ｣

この国では、貧しい人が必ずしも腕の悪い職人とは限らない。事実、この国の全てのガラス瓶を買ったことがあるが、1番長持ちしたのはここの物だけだった。

｢10個で2000ペトだ｣

｢はい。あとはこれいつものお礼です。おじさん今腰悪いでしょ？これ一日に１回1口飲んだら良くなるはずだよ｣

｢あぁ、いつもすまない｣

｢こっちの台詞です。それでは｣

助け合いなんていらない。同情なんていらない。そんな風に言われているこのスラム街でも感謝は必要だ。

私は比較的人の少ない場所に移動し、何も無い空間に扉を創り出しそれをくぐった。

｢……魔女？｣

その様子を1人の人間がみているとも知らずに。