1人目の弟子 ページ3
「お嬢ちゃん今日の夕飯は決まっているかい?だったらうちの野菜を買ってみるのはどうだい!」
「そこの可愛いお嬢さん!貴方にに似合うアクセサリーが揃っているよ!」
「さぁさぁよってらっしゃい見てらっしゃい!鍋に服に本にランプに!生活必需品がここには揃っているよ!」
がやがやと聞こえてくる雑音に私は顔を顰める。黒いローブを着ていて良かったと今は思う。私はガラス瓶を買いに来ただけだ。
「そこのお姉さん、うちはどうだい。新鮮な魚が揃っているよ!」
「そこはやめときな嬢ちゃん。どうせそこら辺で釣れた魚しか揃ってねぇんだ」
「おめぇのとこも変わんねぇじゃねーかよ!」
「んだと!?」
本当に騒がしい。この国は静かに買い物もさせてくれないのか。
露店がずらりと並ぶこの大通りはこの国で一番騒がしいところであり、同時に一番栄えているところでもある。ここだけ見れば、ごくごく普通の一般的な国である。物語の初めにはふさわしいだろう。
あの裏路地を抜けなければ、の話だが。
うざったい商人達を振り切り目的の路地を抜けた先には、今にも崩れそうな壁、ボロボロになった服を着た大人、そして、
「ぁ、あの。僕たちにお恵みをくださいませんか」
物乞いをしてくる小さな子供たちがいた。
本当なら彼らに食べ物などを与えたいが、生憎今は手持ちがない。
「ごめんね、今は手持ちが無いの。今度来た時に何か持ってくるね」
そう言って子供たちの返事も聞かずに先へ進んだ。
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作者名:パナ | 作成日時:2021年8月29日 16時