TOP ページ38
色合いが似てるなんて、割と恥ずかしい方なんだけど。
でも、彼女の笑顔を見てたら“ペアルックでもいいかも”なんて普段なら虫唾の走るような考えが浮かんだ。
彼女の腰にそっと手を添えてエスコートし、当然のように店の1番奥の個室へ。
一緒に奥の席に向かうと、俺が引く椅子に素直に座る。
向かい側に座って当然のように俺が注文したワインのグラスを合わせる。
こういう当然な事が増えていけばいいのに。
食事の合間に最初に口を開くのも彼女。
A「TOPさん、お話って？」
タプ「実は、お願いがあるんです。」
A「あたしに、ですか？」
タプ「はい。正確には仕事の依頼です。」
“仕事”
そのワードを発言した途端、姿勢のいい彼女の背筋が、更にピンと伸びた。
A「お仕事？」
タプ「はい。今度、韓国と日本でそれぞれ俺らの10周年記念のライブをやるんです。その時にMCで話す日本語のカンペ作り、ツアー同行の通訳、あと出来ればMCの日本語を教えて欲しいです。」
A「…楽しそう！」
じっと話を聞いていた彼女の目が急に輝きだした。
本当にやりたいんだな。
タプ「どうです？やってくれますか？」
A「でも…経験も浅いあたしでいいんですか？それに、まだ韓国語は勉強中だし…。」
タプ「カンペ作りは個人でやるように言われてるので大丈夫です。もちろんチーム同行の通訳もいるので、メンバーはその人たちに聞いたり教わって練習します。それからツアー同行の通訳と言っても、さっきも言ったように通訳チームがあるので、基本的には俺のオフに付き合ってもらう予定です。」
頼むからうなづいてくれって気持ちで返事を待った。
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作者名：めい
| 作成日時：2016年6月24日 3時
