YOU ページ27
1枚の絵画に見惚れた。
綺麗な絵。
何枚も見せてもらったけど、風景画や抽象画の方が興味があったから、初めて人物画に見惚れた。
単純に綺麗で、モノクロだけで奥行きを表現されてる繊細さに見惚れたの。
何も考えてなかった。
ぼーっと見てただけ。
なのにまた会ってくれますかなんて聞かれたら、聞き間違いかと思った。
一瞬だけ、そっと頬に触れた彼の唇。
何が起きたのかわからなかった。
またくっつきそうな位の至近距離で目が合った途端、理由のわからない涙が溢れた。
「終わりたくないんです。これで。」
それを聞いて自分の涙の理由が分かってしまった。
あぁ、そっか。
終わりたくないんだ。あたしも。
だけど終わりにしなくちゃいけない。
彼の言葉に応えられず俯いて涙を隠した。
なのに頬に添えた手で優しく顔を上げさせてくるから。
切れ長の綺麗な目が覗き込んでくるから。
嘘はつけないと思った。
嫌いな訳ない。
だったら最初から誘いに乗ったりしない。
むしろこれ以上、好きにならない方が無理。
これ以上、自分の気持ちを隠していく自信がない。
既に踏み込んじゃいけない境界線を越えてた。
最初から今日だけのワガママで済むはずなかったんだ。
A「TOPさんにはお相手がいるじゃないですか…こんなのよくないです。」
ご飯を作ってくれたり、掃除をしてくれる人。
アイドルのニュースはわからないけど、もう取り沙汰されてる人かもしれない。
タプ「相手…？」
A「それなのにこんな事あったって知ったらショックですよ。」
目を見れずに畳み掛けると、予想外の返答。
タプ「相手なんていませんよ…？」
A「えっ、だって掃除や料理を…」
タプ「ハウスキーパーの事ですか？掃除って。週に4日来てもらってます。」
A「は…ハウス…キーパー？」
雰囲気をぶち壊しにするほど間抜けな声が出た。
それにって添えてる手の親指で残った涙を拭った彼が続けた。
タプ「俺が日本食を頼みたいのは、Aさんです。」
そうやって困ったように眉毛を下げて笑う彼に唖然とした。
は？
じゃああたしの勘違い…？
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作者名：めい
| 作成日時：2016年6月24日 3時
