Once in a lifetime chance2 (ページ21)

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YOU ページ21

時間になっても現れない彼。

ちょうどに終わるように買い物を済ませてスーパーの前で待ってるけど、このまま来なかったらどうしようって不安に駆られた時。

不自由な両手を笑うようにお尻のポケットで鳴り響く携帯。

荷物を無理やり片手で持って電話に出ると、まるであたしを見ているかのようなセリフ。

見渡してみるけどそれっぽい人も、見覚えのある車もない。

右へ左へ、その内クスクス笑いながら話してる彼の声を聞いて、小さく心臓が跳ねた。

だけどからかわれてるのがわかったから少しだけ怒ったふりをしてみる。

この瞬間さえ愛しいと思ってる心に蓋をして。

やっと真っ黒のバンを見つけてもう一度両手に分けた荷物を片手に寄せようとしてると、突然開いて引きずり込まれた。

びっくりして声になったかならないかくらいの小さい驚きを上げたら、そこは湿度の高い外気とはまた違った温かさ。

耳元で聞こえる声。

ドキドキなんて通り越してバクバクと脈打つ心臓。

硬直してされるがまま抱きしめられてる体。

その体がそっと離れて、2人の間に空気が入り込んだ。

タプ「遅くなってすいません。帰ってないか心配しました。」

A「いえ。」

それ以上の言葉が出てこなくて、買い物袋に目をやった。

A「にっ、日本の食材もたくさん売ってて！あのスーパーいいですね！」

バッと離れたけどなんて色気のない…！

あたしってほんっとに…！！！

タプ「じゃあ日本食を食べたくなったらいつでも頼めますね。」

あ。ほら。
またモヤモヤする心。

誰に？誰に頼むの？
家を掃除してくれる人？

期待しちゃダメだ。