2話 ページ2
A「でさ、ほっぺたにご飯粒つけてたんだ。可愛いよね、大和って。……聞いてる〜？猿門君」
猿門「……副看守長は大和の話しかしませんね」
A「だって、大和のこと好きだもん」
猿門「よく言えますね。誰が好きとか」
A「私、嘘つくの下手だから、隠しておくよりもバラす方が気が楽で良いんだ」
猿門「……単純というか、ただのバカなのか…」
A「ん？何か言った？」
猿門「何でもありません…。それより何で5舎に来たんですか？」
A「猿鬼に頼まれてた資料を取り寄せたから、渡そうと思って」
猿門「取り寄せる……って…」
A「いや〜、法にギリギリ触れない程度でやったけど、ちょっとやばかったよ」
猿門「……一体、何をしたんですか」
A「お姉ちゃんには絶対に言えないことだよ」
猿門「………そうですか。俺は何も聞かなかったことにします」
A「まぁ、これは猿門君は知らない方がいいことだからね」
猿門「気になりますけど……。あ、この扉の向こうから兄貴の氣が…………」
扉を開けた猿門君は、その格好のまま動かなくなってしまった
A「どうしたの…………？」
扉の向こうは悲惨な光景が広がっていた
横たわる死体に
血まみれの猿鬼
A「………猿鬼？一体、何があったの？」
声をかけた瞬間、凍りつくような目で睨まれた
本能が逃げろと叫んでいる
なのに足が震えて、冷や汗が止まらない
こんなんじゃ、副看守長失格だ
自分を落ち着かせようと大きく息を吐いた瞬間、私の体は猿鬼の手によって壁に叩きつけられていた
目の前が真っ暗になり、もう意識はなくなっていた
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作者名：早月迅哉 | 作成日時：2016年12月11日 21時
