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神代 類 Side.
僕はAちゃん、彰人くんにテーマパークの無料券を渡した。
二人はきょとんとしていたけれど、「ショーをやるから特別席へ招待する」なんて述べれば、二人は来てくれることになった。
───こうなることは"予想していた"。
何故なら、Aちゃんは押しに弱く、こういう特別な招待を断ることは出来ないからだ。
僕は強要しているつもりはないけど、押しに弱いAちゃんからしたら少し強要に感じてしまっているだろう。
でも、そこを使えば僕の思いのままに動いてくれるから、悪い事だと思っていてもついやってしまうんだ。
まあ、Aちゃんは気付いてないみたいだけどね。
暫く三人で歩いていると、校門で僕たちの姿を見るなり手を振って駆け寄ってくる少年が一人。
走って僕の元に向かって来た……と思えば──。
「Aーッ！！」
「きゃあっ！？」
僕の元に来たのではなく、彼はAちゃんに勢いよく抱き付いた。
もう見慣れた光景に、僕は思わずクスッと笑ってしまう。
「フフ、君は本当にAくんの事が好きだねえ、"司"くん。」
「当たり前だろう！どんなに会いたかった事か…！！A、AAAっ……」
「つ、司せんぱっ…」
司くんはAちゃんに抱き付きながらすりすり、と頬を擦り寄せている。
まるで仕事から帰ってきた飼い主を待っていた犬のように。
Aちゃんはどうしたらいいか分からず、司くんの背中をぽんぽんと撫でている。
……ちょっと羨ましいな。
なんてことを思いながら彰人くんを見遣ると、怖い顔をして司くんを睨んでいた。
……嗚呼、君も嫉妬しているのか。わかりやすいな。
僕はそっと彰人くんに近付いて声を掛けてみた。
「フフ、凄く睨んでいるね、司くんを」
「……別に、睨んでなんか」
「おや、僕に嘘が通じるとも？」
「……チッ」
彰人くんは舌打ちした。
どうやら僕に見透かされて嫌に思っているらしい。
これは弄りがいがあるな。
「そういうアンタだって、アイツに嫉妬してるんでしょ。わかってますから」
「まあ、少しは嫉妬しているよ。でも君みたいにそれほど深く嫉妬はしていないけどね」
「……腹立つ。」
クスッと笑えば、彰人くんは睨んでいた視線を司くんから僕へと移した。
おや、怒らせてしまったかな。
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続く (更新停止中)
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作者名：シャノ | 作成日時：2020年12月11日 11時
