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後ろへ引っ張ったのは誰か。
振り向くと、紫髪に水色のメッシュが入った少年"神代 類"先輩だった。
「類先輩…！」
「やあ、二年の教室に来るなんて珍しいね、Aくん、彰人くん」
「…チッ」
彰人くんが類先輩を見た時、何故か舌打ちをした。
その舌打ちはバレないようにではなく、私の耳にも届く程の分かりやすい舌打ち。
その舌打ちを聞いた類先輩はニヤニヤしていた。
「おやおや、舌打ちだなんて酷いじゃないか」
「邪魔すんなよセンパイ。オレは今、Aと帰るトコなんすけど」
「一部敬語が為ってないけど…じゃあ僕も一緒に帰ろうかな」
「センパイ話聞いてます？邪魔すんなっての」
彰人くんと類先輩は私を挟んで言い合いを始めた。
かなりの声量である為、周りの視線は全て私たちに。
それが恥ずかしくて、だんだん顔に熱が集まってきた。
「っ〜〜…もう！彰人くんと類先輩 言い合いしないでくださいっ！皆見てますから…」
「Aくんがそういうなら仕方ないね」
「クソっ…」
私がそう言えば、二人の言い合いはピタリと止まり、
周りの視線は私たちから外れ、ホッと安心して胸を撫で下ろした。
「類先輩も一緒に帰ってあげますから。彰人くんもあまり酷い事言わないの、相手は先輩よ？」
「あーはいはい」
「フフ、まあ一緒に帰ると行っても僕は校門までだよ。司くんたちが待っているからね」
明日はショーの本番だからね、リハーサルしないといけないんだ。と言いながら、類先輩は鞄から2枚の紙を取り出して私たちに差し出した。
彰人くんと私は不思議そうに受け取って見れば、テーマパークの"フェニックスワンダーランド"の入場無料券だった。
「これは…テーマパークの、」
「入場無料券ッて…つまり来いと？」
「無理にとは言わないよ。君たちがもし明日 時間があったら、ショーの特別席にご招待しようかなと思ってね」
私と彰人くんは一度顔を合わせると、彰人くんは少し黙った後に小さく溜息を付いた。
「わかりましたよ、明日休みなんで行きます。Aは？」
「私は用事ないから大丈夫だよ」
「ってことなんで、特別席に招待してくださいよ」
「フフ、勿論さ」
さぁ、決まったことだし帰ろうか。と、類先輩は歩き出した。
私たちも付いていくように歩いていく。
その時、彰人くんが怪しげな笑みを浮かべていたことは知らなかった。
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作者名：シャノ | 作成日時：2020年12月11日 11時
