日常 ページ2
全てを飲み込むような暗闇の中でゆらゆら蠢いている炎のすぐ側で母親は子に言い聞かすように語っている。
そう、海賊の物語を＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。
ギシギシと床を鳴らし古い扉を気遣うことなく思い切り開ける女性
居候させてもらっている家の奥さんのハン
「A、お前何呑気に座っているんだい
居候の身なんだから少しは働いたらどうだ
これだから不気味なこいつを引き取るのは嫌だったんだ。食費ばかりかさんで仕方ない
何よ、その目
なんか文句でもあんのかい？」
『ごっ』
ピシッ
乾いた音が鳴り頬に鋭い痛みが走る
「誰が喋っていいと言った
あんたの声も存在も気味が悪い」
ごめんなさいただそう一言言いたかっただけなの
雑に置かれた雑巾を取り１階まで降りると運悪くこの家の息子であるムースと鉢合わせてしまった。
「おいドブネズミ
お前これ洗っておけ」
投げつけられたシャツには朝食でついたような汚れが着いている
私が頷くと満足したような足取りで玄関に向かっていく。
極力家の人に会わないように裏庭にまで静かに歩いていった
季節は冬、肌はどんどん凍てつき感覚が鈍くなる。
汚れを知らないようなき白肌に映えすぎる赤
最近の寒さと乾燥で指が切れている。
早くしないとまた殴られる
必死に冷たい水が入っている重たいバケツを持ち早足で家に戻る。
外とは違いまだ家の中はじんわりとした温かさが残っている。
この家はとても広い訳では無いけど、廊下は沢山あるから雑巾がけはとても大変。
肌はひんやりと温もりを奪われ、膝は擦れて赤くなる。
ホコリひとつでもあると直ぐにやり直しさせられ、怒鳴られる。
ようやく、全ての廊下を吹き終わり、おばさんも納得してくれているようだった。
「雑巾がけのひとつもこんなに時間使うなんてねぇ
約立たずもいいところだよ
あんたムースから頼まれていたことあったろ、それやんな」
返事をしてまた殴られるのは嫌なので首を縦に振る
また裏庭に行き、雑巾を綺麗に洗う。
冷たい風が肌を突き刺し、凍てついた水が熱をさらに奪っていく。
ムースから預かったシャツを濡らしブラシと洗剤で磨くがなかなか汚れが落ちない
落ちなかったらまた怒られちゃうな
ムースは歳は私より年下だけど私よりも体格がよく殴られるとすごく痛い。
痛いのはやだな
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作者名：あいりーん | 作成日時：2020年4月19日 2時
